平成20年全日本選抜柔道体重別選手権大会第2日目結果
康生、復活!
火花散る大会2日目
満員御礼となった大会最終日。“北京”がかかった運命の1日は、63kg級の谷本歩実対吉澤穂波、上野順恵対田中美衣の試合で幕を開けた。
1回戦、女子は福見友子、西田優香が敗退したが、男子は順当な勝ち上がりをみせる。会場が一番注目していた谷亮子、井上康生の初戦では、畳の上と同じくらい観客席もヒートアップ。谷が伊部尚子を崩せばどよめきがおき、井上の足が立山広喜の両足の間に入れば、歓声があがった。
2回戦では井上と現世界王者・棟田康幸の対戦に注目が集まる。気持ちと気持ちがぶつかりあった戦いの軍配は井上にあがり、谷の対戦相手には山岸絵美が、西田が去った52kg級は中村美里、横澤由貴が、90kg級では泉浩、100kg級ではオール一本勝ちで勝ち上がってきた鈴木桂治が顔を揃え、決勝を迎えた。
そして、この日もやはり波乱が起きる。調子のよさを感じさせる試合で勝ち上がってきた谷が、山岸絵美に敗れたのだ。「今日は自分の中でもう一つ盛り上がりに欠けるところがあった」と谷。厳しい表情を見せた。また57kg級では、世界選手権3位の佐藤愛子が松本薫に敗れた。
激しい戦いは終わり、100kg超級、78kg超級をのぞいて北京代表(候補)も決まった。最後のひと席は今月20日(女子)、29日(男子)に決定する。
この日の優勝者は次の通り。
90kg級・泉 浩/100kg級・鈴木桂治/100kg超級・井上康生
48kg級・山岸絵美/52kg・中村美里/57kg級・松本 薫/63kg・上野順恵
☆ 観客席から
北京オリンピック代表がかかった注目の大会とあって、会場にはたくさんの人たちが集まり、大会をさらに盛り上げてくれた。そんな観客席の声を紹介しよう。
この日、最初に目を引いたのが、背中に大きく「康生」と書かれたハッピを着た一団。井上選手の地元・宮崎からバスで駆けつけたという「井上康生君を励ます会」の面々だ。「宮崎を朝8時に出てやってきました。今日は“とにかく勝て”その一言です」とは井上選手の後援会役員をつとめる豊浦晃嗣さんと、柴田邦宏さん。「勝っておいしいビールを飲みながら帰ります」。帰り道中はさぞかし盛り上がったに違いない。
佐賀からお母さんに連れられて試合を見にきたという増本采佳(あやか)・禎子(ともこ)姉妹。ともに柔道をやっているという2人は鈴木桂治選手のファンだそう。トップ選手の試合は「技のキレ、動きなど、とても勉強になります」と笑顔を見せた。
「北京オリンピックの代表がかかった大会だということで、はじめて柔道を見にきました」というのは30代の会社員女性。「いつもはテレビで試合を見ているのですが、会場で見るとどう違うのか、興味がありました。でも、試合会場が比較的観客席と近くて、テレビで見るのとあまり違和感がありませんね。迫力ある試合は柔道がわからない私にも十分楽しめます」。柔道はやはり生で観てこそ醍醐味を味わえるもの。ぜひ、また試合会場に足を運んでください。