世界形選手権大会(マルタ)
2009年10月17~18日に行なわれた世界形選手権大会において日本代表選手は出場した5種目すべて優勝した。
尾形日本代表監督は「24ヶ国が参加した第1回世界形選手権大会で全種目を制し、正しい柔道を世界に向かって発信することができてよかった。しかし、外国のレベルは上がっており、投の形や柔の形では接戦だった。特に柔の形は予選2位を逆転しての優勝だった。外国の形演技はオーバーアクションもあるが、正統な演技で力をつけている国が増えており、柔道にとっては好ましい傾向だとおもわれる。」と語った。
大会報告(09.10.21)
第1回世界柔道形選手権大会は、マルタ共和国の首都バレッタのCottonera Sports Complexで2009年10月17(土)、18日(日)に行われた。大会は、25カ国から86組の選手が参加し熱戦が繰り広げられた。
試合方式は昨年度のIJF形ワールドカップに準じた。午前中に各形2組に分かれて予選を行い、各組の上位3チームが午後の決勝に残る方式である。17日は3試合場を使って、固の形(15カ国、18組)、投の形(16カ国、19組)、柔の形(13カ国、16組)が行われた。
初日、投の形の近藤・大河内組は、予選で前年度のIJF形ワールドカップ優勝のルーマニアのSURLA・FLEISZ組を抑え、第1位で通過した。決勝における近藤・大河内組は若干のミスも重なり455点と予選よりスコアを少々落としたものの見事な優勝を飾った。2位はスペインのCHAMACHO兄弟の444点、3位には432点でルーマニアのSURLA・FLEISZ組が入った。
固の形に出場した松本・中橋組は、前年度のIJF形ワールドカップ優勝者である。予選第1組で477点のトップの成績で決勝へと進んだ。決勝でも完璧な演技は478点をマークし2位のスペインGOICOECHANDIA・VILLAR組の436点を大きく引き離しての見事な優勝であった。3位はイタリアPROIETTI ・DI LELLO組の435点。
柔の形の横山・大森組は、予選ではイタリア1の男性組VOLPI・CALDERINI組に破れ、予選2位で決勝へ進んだ。決勝では、イタリア1の男性組が461点。イタリア2女性組SOZZI・FRITTOLI(442点)など、実力および優美さを兼ね備えた強豪を抑えて予選を上回る470点をだして優勝を飾った。
2日目、18日は極の形、講道館護身術が行われた。
極の形の竹石・植松組は予選および決勝ともに安定した切れのある演技でトップ通過し見事優勝を果たした(596点)。 2位はスペインのBLAS・CHUNGSEU組の558点、3位はイタリアDE CERCE・PADOVANの543点だった。
講道館護身術の浜名・山崎組も予選、決勝ともに他の追従を許さずに完勝した(621点)。2位はイタリアMAINENTI・FACCIOLI組の584点、3位はスペインJESUS・MAXIMO組の576点。
大会は柔道界史上、記念すべき第1回大会であった。老若男女の組み合わせによる出場者は、この競技の持つ潜在的な一面をみせてくれた。
今後の発展を考えたときに、5人の審査委員による審査方法やミスを中心とする採点方法など、現行の審査システムの在り方の検討を重ねる必要があろう。
今回もスペイン、イタリアの健闘がみられ、水準の高さを示した。次回、彼らはさらに強化してくるであろう。競技柔道と並行して形の強化も進めると同時にこの分野での研究が求められる。