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グランドスラム東京2009国際大会 結果

グランドスラム東京2009国際大会 結果

広報委員 永田千恵
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第3日目

注目選手の揃った大会最終日。男子は新旧の全日本選手権王者、穴井隆将と鈴木桂治が登場。世界選手権、講道館杯と苦杯をなめた穴井の活躍と、鈴木の復活に期待が集まり、両選手の試合には会場から大きな声援が贈られた。しかし、残念ながら金メダル獲得とはならなかった。
女子は世界選手権金メダリストの福見友子、中村美里が期待通りの活躍をみせ、57kg級では徳久瞳が世界チャンピオンを破って堂々の優勝を果たした。

<100kg級>
予選ラウンドで次々と日本選手が敗れていくなか、穴井は緒戦からオール一本で決勝まで勝ち上がった。対するは、かつて90kg級で世界の頂点に立ったベテラン・ファンヒーテ(韓国)。試合は両者決めてなく、勝負はGSに持ち込まれるのかと思った残り15秒、ファンヒーテの放った小内刈りが「有効」となり、そのまま試合は終了。穴井は今年最後の大会を勝利で飾ることはできなかった。

勝上り表(PDF) 優勝 ファンヒーテ(韓国) 第2位 穴井 隆将((学)天理大学職) 第3位 クラパレク(カザフスタン) ゾルゾリャーニ(グルジア)

ファンヒーテ「結婚してから初めての試合で優勝できて嬉しく思います」

<100超級>
復活が期待された鈴木が大学の後輩・立山広喜、今年の世界選手権3位のタングリエフ(ウズベキスタン)を破って決勝に進出し、やはり大学の後輩にあたる高橋和彦と対戦。しかし、勝利の女神は鈴木に微笑まなかった。残り時間1分を切ったところで高橋が仕掛けた大外刈が決まって「一本」。高橋には嬉しいタイトル獲得となった。

勝上り表(PDF) 優勝 高橋 和彦(新日本製鐵(株)) 第2位 鈴木 桂治(国士舘大学教) 第3位 タングリエフ(ウズベキスタン) パダル(エストニア)

高橋「優勝できて嬉しいです。決勝戦は(先輩の)胸を借りるつもりで思い切っていきました。次の大会、その次の大会でも使ってもらえるようにこれからも頑張ります」

<48kg級>
日本人が強いこの階級。世界チャンピオンとなった福見と、ライバル・山岸絵美というカードに注目が集まった。福見は順当に勝ち上がったが、山岸は準決勝で20歳の学生チャンピオン・近藤香に敗退。王者への挑戦権はこの近藤が勝ち取った。だが、壁は厚かった。近藤に2つの「指導」が入り、そのまま試合はタイムアップ。福見は世界戦後初のタイトルを負けない試合運びでしっかりと勝ち取った。

勝上り表(PDF) 優勝 福見 友子((学)了徳寺学園職) 第2位 近藤 香(帝京大学3年) 第3位 山岸 絵美(三井住友海上火災保険(株)) メネゼス(ブラジル)

福見「世界選手権が終わってからのこの大会は大切な大会。世界戦で得たものを出し切りたいと思って試合に臨みました。課題は残りますが、これから一つひとつそれをこなしていき、最終的にオリンピックにつなげていけるよう頑張ります」

<52kg級>
3人の日本選手は予選ラウンドで敗れ、決勝の舞台へとあがったのは、今年、世界王者となった中村と、スロベニアのナレクスだった。試合は中村の技が光った。得意の寝技に持ち込む。最初にかけた肩固はあと少しというところで返されて「有効」。そこから再び崩れ上四方固に入るとこれががっちりと決まって「一本」。2009年を勝利で締めくくった。

勝上り表(PDF) 優勝 中村 美里(三井住友海上火災保険(株)) 第2位 ナレクス(スロベニア) 第3位 カラスコサ(スペイン) ミランダ(ブラジル)

中村「絶対に離さないと思っていたのに決めきれず、反省しています。でも、優勝できて嬉しい。課題を1日1日克服していき、ロンドンで優勝できるよう頑張ります」

<57kg級>
現世界チャンピオン・リボー(フランス)が参戦したこの階級。その王者を破ったのは、徳久瞳。崩れ上四方固で「一本」をとるという快挙を見せた。決勝は先の世界選手権代表の松本香との日本人対決。開始早々、徳久の放った内股が「技あり」となり、これが決め手となって徳久がタイトルを獲得した。

勝上り表(PDF) 優勝 徳久 瞳(三井住友海上火災保険(株)) 第2位 松本 薫(帝京大学4年) 第3位 佐藤 愛子((学)了徳寺学園職) リボー(フランス)

徳久「全力を出し切ろうと思って臨み、結果を出すことができました。これからも一つひとつやっていきます」

第2日目

男子3階級、女子2階級が行われた大会2日目。注目はなんといっても、先のオランダ世界選手権でオール一本勝ちという圧倒的な強さで優勝した63kg級・上野順恵。女子はその上野は期待通り優勝し、70kg級ではそのオランダ3位で悔し涙を飲んだ渡辺美奈が制した。
一方の男子は若手に期待が集まる中、90kg級ではベテラン・小野卓志が優勝し、81kg級、73kg級では残念ながら一番高いところに日の丸をあげることはできなかった。

<73kg級>
高校生・西山雄希、大学生の中矢力、粟野恭浩、そして23歳の大束正彦と日本は若手で揃えたこの階級。決勝には現在、世界で圧倒的な強さをみせているワンギチュン(韓国)が勝ち上がり、準決勝で西山をくだした21歳の粟野がこの王者に挑戦するも腕拉ぎ十字固めで敗れ、ワンギチュンが今年3つ目のグランドスラムのタイトルを獲得した。

勝上り表(PDF) 優勝 ワンギチュン(韓国) 第2位 粟野靖浩(筑波大学3年) 第3位 トリトン(カナダ) 西山雄希(桐蔭学園高等学校3年)

ワンギチュン「優勝できて嬉しい。でも、内容は納得のいかないものが多かったので、もっと練習します」

<81kg級>
日本勢の苦戦が続く81kg級。今大会でもやはり厳しく、予選ラウンドを勝ち上がったのは、松本雄史1人だった。その松本も準決勝でバートン(イギリス)に残り時間あと1秒というところで敗れて敗退。決勝はこのバートンとキムジェアン(韓国)との対戦となり、「技あり」までとられていたバートンが逆転優勝を飾った。

勝上り表(PDF) 優勝 バートン(イギリス) 第2位 キム ジェブン(韓国) 第3位 ギヘイロ(ブラジル) 松本雄史(兵庫県警察)

バートン「ここで勝つことができて嬉しい。ロンドンへ向けて、大きな1歩を踏み出すことができました」

<90kg級>
ベテランの小野と大学生の春山友紀、吉田優也、西山大希という3人の若手が世界の選手を相手にどれだけ力を見せるか、というところに注目が集まった。春山は敗れたものの小野、吉田、西山の3人が準決勝戦へと進み、決勝は吉田を破った小野と、チョリエフ(ウズベキスタン)をくだした西山が対戦。ベテランと若手の対決は、「指導」2つでベテラン小野が制し、今年最後の戦いを優勝で終えた。

勝上り表(PDF) 優勝 小野卓志((学)了徳寺学園職) 第2位 西山大希(筑波大学1年) 第3位 吉田優也(東海大学2年) チョリエフ(ウズベキスタン)

小野「西山は同じ大学で練習しているのでやりにくかった。これからも一つひとつ気を抜かず、1年に命をかけて精一杯頑張ります」

<63kg級>
日本勢が強さを発揮。上野、谷本育実、平井希、山本小百合と全員が決勝ラウンドに勝ち上がり、決勝は上野と長年のライバルの妹・育実という楽しみなカードとなった。二人の姉・上野雅恵、谷本歩実が見守る中、妹たちは戦うも互いに技が出ず、試合は「指導」の累積で上野の勝ちとなった。

勝上り表(PDF) 優勝 上野順恵(三井住友海上火災保険(株)) 第2位 谷本育実(コマツ) 第3位 平井希(自衛隊体育学校) 山本小百合(筑波大学1年))

上野「しっかりとした技で一本をとることを目指してきたのに、試合は納得のいかない内容でした。来年は1月からすぐに大会があるので、それに向けて1からやっていきます」

<70kg級>
岡明日香、今井優子の二人は予選ラウンドで姿を消したが、渡辺と國原が準決勝に駒を進めた。しかし、國原はその準決勝でオランダ2位のメサロシュ(ハンガリー)に敗れ、決勝は渡辺とメサロシュという、世界選手権2位と3位の戦いとなった。試合は「技あり」と指導2つをとったメサロシュ有利で進んでいたが、残り1分23秒、メサロシュが出てきたところを渡辺が返して逆転の「一本」。頂点に輝いた。

勝上り表(PDF) 優勝 渡辺美奈(コマツ) 第2位 メサロシュ(ハンガリー) 第3位 國原頼子(自衛隊体育学校) ボッシュ(オランダ))

渡辺「絶対に倒したい相手。世界戦のときと同じように最初に指導をとられたことが悔しかった。来年、世界選手権の代表となり、そこで金メダルをとるため、これから課題を克服していきます」

第1日目

嘉納治五郎師範の功績をたたえ、1978年から14回にわたって開催されてきた嘉納治五郎杯国際柔道大会が、新たに国際柔道連盟公認大会「柔道グランドスラムTOKYO2009」となってスタート。
その大会初日。男子60kg級、66kg級、女子78kg級、78kg超級の4階級が行われ、準々決勝で注目の五輪チャンピオン・内柴正人が一本負けを喫するという波乱があったものの4階級すべてで日本人選手が金メダルを獲得。日本にとって幸先のいい結果となった。
また、開会式では女子柔道を世界の舞台に押し上げた功労者であり、先月21日に亡くなったラスティ・カノコギ氏を偲んで黙祷が行われた。

<60kg級>
オランダ世界選手権金メダリストや北京オリンピック2位といった実力者などが出場した60kg級。並みいる強豪を破って準決勝には福岡政章、山本浩史、平岡拓章、JANG Jin-Minが勝ち上がった。決勝は福岡と今年の世界戦2位の平岡の対決となり、指導2つの僅差で福岡がタイトルを獲得した。

勝上り表(PDF) 優勝 福岡政章(綜合警備保障) 第2位 平岡拓晃((学)了徳寺学園職) 第3位 チャン ジンミ(韓国) 山本浩史(日本体育大学2年)

福岡「世界大会のつもりで臨んだ。勝ててよかった」

<66kg級>
内柴とその内柴を講道館杯で破った19歳の海老沼匡に注目が集まったが、前述したように、内柴は韓国のアンジョンファンに腕拉ぎ十字固めで敗退。対する海老沼はそのアンを合わせ技一本で破ると、決勝ではやはり韓国のキムジョジンを背負い投げ一本で破って大きな勝利を手にした。その他、同じく10代の森下純平も準決勝まで勝ち上がる健闘を見せた。

勝上り表(PDF) 優勝 海老沼匡(明治大学2年) 第2位 キム ジョシン(韓国) 第3位 アン ジョンファン(韓国) 森下純平(筑波大学1年)

海老沼「やるべきことを毎日やってきました。もっともっと練習し、これからも自分のやるべきことをやっていきたいと思います」

<78kg級>
ここ数年、この階級の第一人者として日本を引っ張ってきた中澤さえが先月、現役を引退。次は誰がこのシートに座るのかという意味でも注目を集めた。そのなかで頂点に輝いたのは、夏の全日本ジュニアから世界ジュニア、講道館杯と勝ち続け勢いに乗る緒方だった。決勝では穴井さやかとあたるもその穴井を横四方固めで抑え込んで快勝。”ポスト中澤”の一番手として名乗りを上げた。

勝上り表(PDF) 優勝 緒方亜香里(筑波大学1年) 第2位 穴井さやか((株)ミキハウス) 第3位 佐藤瑠香(八幡工業高校3年) ウォラート(ドイツ)

緒方「結果はよかったけれど試合内容はまだまだでした」

<78kg超級>
世界の強豪が揃って参戦した女子重量級。そのなかで注目を集めたのが、復活が期待された塚田真希だった。塚田が小さく見えるほど大きなポーランドのSADAKOWSKA、大学の後輩・田知本愛を破って決勝に進出。最終戦はロシアのイワシュシェンコをこの日一番の大外刈りで「一本」をとり、期待に応えた。

勝上り表(PDF) 優勝 塚田真希(綜合警備保障) 第2位 イワシュシェンコ(ロシア) 第3位 ポラウデル(スロベニア) 田知本愛(東海大学3年)

塚田「1試合1試合が結果につながり嬉しい。これからも自分のため、ステップアップしていくために、全力で頑張っていきます」

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