東京グランドスラム2012 大会レポート(1日目)
2012年を締めくくる グランドスラム東京開幕
11月30日、国内で行われる唯一の国際大会・グランドスラム東京が東京・代々木第一体育館で開幕。海外からはロンドン五輪代表も数多く出場し、日本人選手は若手を中心に各階級4名が登場する。
初日は男子60kg級、66kg級の2階級が、女子は48kg級、52kg級、57kg級の3階級が行われ、男女ともに日本勢が5階級すべてを制した。
【男 子】
60kg級は期待のロンドン五輪銀メダリスト平岡拓晃がケガのために欠場。その平岡に追いつき、追い越せと先の講道館杯の上位4人木戸慎二、志々目徹髙藤直寿、石川裕紀が登場した。海外からはロンドン銅メダリストのキタダイ(ブラジル)らが出場。そのキタダイを石川が一本勝ちで下し、決勝はジュニアで向かうところ敵なしの髙藤と石川という、日本人同士でしかも東海大の先輩後輩の同門対決となった。優勝は先輩に思い切って向かっていった髙藤。肩車で「一本」を奪って、初のタイトルを獲得した。
66kg級の舞台にあがったのは講道館杯1位、2位の吉田惟人、福岡政章、昨年の大会覇者・高上智史と、ケガで急きょ欠場となった海老沼匡に変わって、東京世界選手権のチャンピオン・森下純平。予選ラウンドで吉田、福岡の2人が姿を消し、優勝争いはこの森下とフランスのロンドン五輪代表ラロスに絞られた。迎えた決勝、「技あり」「一本」「有効」と放った技がすべて副審からの要請で取り消しになるも森下は果敢に攻め続け、最後は得意の内股で文句なしの一本勝ちをおさめた。
◆優勝者の声
60kg級/髙藤直寿
「この前、負けたばかりなので優勝はすごく嬉しい。決勝の相手は大学のコーチなので、思いきりいこうと思った。でも、内容的には今日の自分は日本人らしくない肩車、掬い投げばかりだったのでダメだと思う。まだ自分は平岡選手を追いかけている立場。まずは日本代表になって世界を目指したい」
66kg級/森下純平
「決勝の内股は狙っていた。得意技で決められたし、この大会で勝つことを目標としてきたのでよかった。ただ、試合内容としては初戦の立ち上がりが危ないなどあったので、そこのところをまたやり直さなければ。来年の世界選手権に出られるよう頑張りたい」
【女 子】
48kg級に登場したのはケガから復活した浅見八瑠奈と講道館杯で活躍を見せた十田美里、岡本理帆、そしてベテラン山岸絵美の4人。大会連覇に燃える浅見が決勝にあがり、メストレ(ブラジル)を寝技でがっちり抑え込んで、堂々の優勝を果たした。
52kg級は講道館杯上位の黒木美晴、橋本優貴、宮川拓美と谷本和、海外からロンドン銀メダルのベルモイ(キューバ)やミランダ(ブラジル)ら実力者が出場して一つの座席を目指して争った。ここを制したのは橋本とベルモイを旗判定で下した谷本という、同じ所属同士の2人。日本人対決は橋本に軍配があがり、初優勝を飾った。
57kg級は話題のロンドン金メダリストの松本薫がケガで残念ながら欠場となり、山本杏、平井希、宇高菜絵、石川慈の4人が出場し、ロンドン3位のパヴィア(フランス)らを迎え撃った。決勝はここも山本、平井という日本人同士。ゴールデンスコアまで試合は流れ込み、平井に2回目の「指導」が入った瞬間、山本の優勝が決まった。
◆優勝者の声
48kg級/浅見八瑠奈
「前に出て、自分の柔道をしようと思って試合に臨んだ。(これまできつい日々だったが)周りの人びとに支えられ、人ってこんなに温かいのかと思った。次の目標は来年の世界選手権で3連覇すること。今日の優勝でいいスタートを切ることができたと思う」
52kg級/橋本優貴
「決勝終了後、監督から後半の内容が悪かったことを指摘された。そこをなおしていかないといけないと思う。初優勝だが、ここは通過点。反省すべきところは反省し、次に取り組んでいかなくては。来年の世界選手権代表に選ばれるよう頑張りたい」
57kg級/山本杏
「優勝は正直嬉しい。ここまで試合が詰まっていて、調整について監督に教わりながらこの日を迎えた。初戦から長い試合が続いたが、技術よりも気持ちの問題だと考え、試合に臨んだ。大きな目標はリオデジャネイロで活躍することだが、まずは来年世界選手権に出て優勝を目指したい」