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【女子柔道振興委員会】JJ Voice No. 74 鈴木なつ未さん

プロフィール

鈴木 なつ未(すずき なつみ)1979年 宮城県生まれ
拓殖大学 国際学部 准教授
講道館柔道女子弐段
拓殖大学 女子柔道部100期 主将

筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻修了。博士(スポーツ医学)
長年にわたりトップアスリートのコンディショニング、女性アスリートのコンディショニングに関する研究やサポート等に従事。(公財)日本オリンピック委員会 強化スタッフ(医科学スタッフ)、(公財)日本スケート連盟スピードスケート、ショートトラック科学スタッフ、(公財)全日本柔道連盟 強化委員会 科学研究部員等を務め、2022年1月より(公財)全日本柔道連盟 医科学委員会 特別委員も務める。

主な戦績:
1999年 全国女子体重別柔道選手権大会 78kg超級 ベスト16
1998年 東京学生女子柔道優勝大会 優勝
2001年 全日本学生女子柔道優勝大会 ベスト8

佐藤温夏さんからバトンを受けました、鈴木なつ未です。
温夏さんとは、国立スポーツ科学センター(JISS)の研究員時代に取材を受けたご縁で親しくさせていただいてきました。今回このお話を頂き、女子柔道界でご活躍された皆様の中に、私が入って良いのだろうかと大変恐縮しました。ですが、大変光栄な事ですので、私のこれまでと想いをお伝えできればと思います。

私は小学5年生の時に町の道場で柔道を始めました。近所にお住まいだった当時の全日本のコーチが指導されるという事と、母親が道衣を着せたい(カッコイイ!と思っていたとか)という理由からでした。高校まで仙台で過ごし、縁あって拓殖大学に進学することになりました。当時、拓殖大学の女子柔道部には国内トップクラスの選手が集まっており、練習やトレーニングはもちろん、寮生活も大変厳しかったことを、今でも思い出します。大学3年の秋からは女子主将を務めました。
3年生になる時に、佐藤伸一郎先生(拓殖大学柔道部監督)に監督が代わりました。この佐藤先生との出会いが、私の人生の転機です。先生の指導は、スポーツ科学に基づいており、それまで私が触れたことのない世界でした。4年生になった私は、スポーツ科学を学びそれをスポーツ界に還元出来るような人になりたいと考え、先生に相談し筑波大学大学院への進学を勧めて頂きました。大学卒業後、1年間の研究生を経て、大学院に入学しました。

私の指導教官であった目崎 登先生(筑波大学名誉教授)は、女性スポーツ医学がご専門で、長年、女子柔道に携わっており、そこから筑波大学の柔道部ともご縁を頂き、筑波の先生方やたくさんの選手達と繋がることとなりました。また、私の専門である【女性アスリートのコンディショニング】の研究はここから始まりました。

大学院修了後、大学院進学の理由でもあった、アスリートの研究やサポートをしたいという気持ちから、JISSで研究員として勤めました。ここで柔道とは違う競技と出会いました。冬の競技、スピードスケートです(私が筑波大大学院生時代、大学生だった谷本歩実さんは、現在スケート連盟の理事を務められており、今ではスケートのリンクで顔を合わせています!)。

当時のジュニアヘッドコーチから、女子選手の体調管理のため女性のスタッフに来て欲しいというリクエストがあり、年間を通じて行われる合宿と国際大会に帯同することになりました。ここから、本格的に女子選手のコンディショニングサポートに携わらせていただくことになりました。そして現在に至るまでスケート連盟の科学スタッフとして、スピードスケートとショートトラックのナショナルチームからジュニアまで、主に女子選手に向けて講義やコンディショニングサポートを行っています。

今の私があるのは、【柔道】を通して、たくさんの出会い、ご縁に恵まれたお陰です。大学でスポーツ科学に出会わなければ、女性アスリートに関する研究やサポートをすることはありませんでした。スケートという自分とは縁のなかった競技と出会うこともなかったでしょう。競技者でいる間はもちろんですが、競技を続けたその先にたくさんのものをくれた、それが私にとっての【柔道】です。2021年4月からは教員として母校の拓殖大学に戻り、恩師とともにスポーツに打ち込む学生の教育に携わっています。

アスリートが健康で、全力で力を尽くす、ベストのパフォーマンスを発揮するためには、選手自身はもちろんの事、選手の周りの皆さんの理解と支えが必要です。女性は女性ホルモンによって、身体に様々な変化や影響を受けています。月経やそれに伴う症状、その他女性特有の問題を抱えながら競技に向き合っている女性アスリートは多いです。私は、月経教育、コンディショニング教育を通じて、指導者の方々や保護者の方々など、アスリートを支える方々の力になりたいと思い、今後もそれらの教育、普及・啓発に力を入れて活動していきたいと考えています。今、指導者として柔道に携わる方々、保護者として携わる方々、皆さまにはぜひ、女性アスリートのコンディショニングについて理解を深めて頂き、アスリートを支え、見守って頂きたいです。いつでもご協力いたしますので、お声がけください!これも、【柔道】によって繋がるご縁と思っています。

 大学4年時 全日本学生優勝大会(一番左が筆者)
スピードスケートジュニア強化合宿 自転車トレーニングのサポートの様子
スピードスケートナショナルチーム講義の様子
スピードスケート世界ジュニア選手権時にコーチ・トレーナーの皆さんと

次回は、鈴木さんの大学の先輩である、川口(旧姓:森本)さやかさんが登場します。

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