プロフィール
楢﨑 教子(ならざき のりこ)1972年 神奈川県生まれ
福岡教育大学 准教授
講道館柔道女子六段
主な戦績:
1996年 アトランタオリンピック 52㎏級 銅メダル
2000年 シドニーオリンピック 52㎏級 銀メダル
JJ Voiceのバトンを回していただいた岡﨑綾子さんとは、階級も所属も異なりますが現役時代は全日本強化合宿で一緒に練習をしていました。岡﨑さんは長距離走が得意で、全日本強化選手の中でも身体能力が抜群だったと記憶しています。私が一本勝負の元立ちをしているときに、よく岡﨑さんがあたりに来て、10分近く稽古をしても何もポイントを取れずに苦しんだ記憶があります。現役引退後は、日本オリンピック委員会(JOC)企画のオリンピックデー・フェスタの講師として、青森県八戸市を訪問したり、紀柔館の腹巻宏一先生が企画された「和歌山ときめき柔道ガールズ 女性のための柔道教室」の講師として、和歌山市の県立武道館を訪問したり、岡﨑さんとは何度か一緒に柔道教室の講師を務める機会に恵まれました。
このように、現役引退後も交流を深めている岡﨑さんより、JJ Voiceのバトンを受け取ることができましたことをとても嬉しく思います。
さて、私は福岡教育大学の教員として12年目を迎えます。赴任した当初は、少ない男子部員とともに出稽古をしたり、他大学との合同合宿に参加したり、忙しい日々を過ごしておりました。今までも柔道部員は10~15名と少数でしたが、柔道好きの部員が自分たちで練習内容を工夫し、強くなるために知恵を絞って、練習に取り組んできました。その教え子たちは、卒業後に小学校・中学校・高等学校の教員、警察官、JR九州などの企業に就職し、社会人として活躍しています。これからは、柔道の指導者として交流があることもとても楽しみです。
柔道の現役中は日々の練習を乗り切るのに精一杯でしたが、その後の就職やアメリカ滞在の経験を通して人脈も広がりました。アメリカ滞在中は楽しいこともたくさんありましたが、生活をしていて困難に直面することもあり、そのときに助けてくれたのはやはり柔道の仲間でした。また、JJ Voiceに登場された中村良三先生や吉見浩二先生には、筑波大学で熱心にご指導いただき、大変お世話になりました。その当時の懐かしい写真の中に、若かりし頃の私を見つけ、感謝の思いが込み上げてきました。中村先生はいつも私たちに、「上の者(先生・先輩)から受けた恩は、下の者(後進・後輩)へ返すんだよ」とおっしゃっていました。これからも先生や先輩方から受けた恩を忘れずに、後進の指導に励みたいと思います。そして、柔道をしているとこんなに楽しいことがあるという私の経験談を指導している大学生や、柔道家のみなさんと共有したいと思います。
次回は、スポーツライターの佐藤温夏さんが登場します。温夏さんには、現役時代に柔道の取材で大変お世話になりましたが、金沢学院大学の渡辺涼子先生との共同研究で「柔道家17人のものがたり 柔道をがんばる ジュニア選手のためのハンドブック」の制作にご協力いただき、現役引退後も交流があります。