【女子柔道振興委員会】JJ VoiceNo.62　横澤　由貴さん

皆さんこんにちは。三井住友海上柔道部の先輩、真壁さんよりバトンを受け取りました横澤由貴です。柔道部の寮に入り隣のお部屋が真壁先輩で、柔道でも社会人としても高校を卒業して何も分からない私に、色々アドバイスをしてくれました。慣れない社会人生活と厳しい練習の毎日でしたが、今思い出すのは一緒に遠征に行ったり、試合後ご飯を食べに行ったり楽しかった事ばかりです。先輩、またみんなで集まってたくさんお話ししましょう！

柔道を始めてから現在の様子などをお話ししたいと思います。
私が柔道を始めたのは小学2年生の時で、父がスポーツ少年団で指導しており、そこで練習していた兄に付いて行ったのがきっかけです。中学生までは全国大会には出場するけど、勝ち上がることが出来ませんでした。その後、地元の前橋東高校へ進み高校選手権で優勝する事が出来ましたが、柔道は高校までで将来は美容師になりたいと思っていました。しかし私にとって初めての国際大会になったフランスジュニア大会や、卒業後お世話になった住友海上（現：三井住友海上）柔道部の練習に参加させて頂きトップ選手達と練習できた経験が、もう少し柔道を頑張ってみようという気持ちに変わっていきました。

三井住友海上に入社し、1年目は慣れない東京での生活と練習に付いていくのがやっとで、毎日クタクタになっていました。でもトップレベルの先輩方と毎日一緒に練習・生活をしていた事や、2000年のシドニーオリンピックで同じチームの上野雅恵先輩が大舞台で戦っているのを現地で見て “私もあの舞台に立ちたい！”と夢だったオリンピックを現実の目標として考える様になりました。それからオリンピックや世界選手権、たくさんの国内外での大会に参加するチャンスを頂き、これらの経験は私の人生の中でこの時にしかできない貴重な時間だったなと思います。

2008年の選抜体重別大会を最後に選手生活を終わりにし、三井住友海上のセカンドキャリア制度でカナダ・バンクーバーに1年間留学しました。
学生時代、全く英語に興味がなかった私ですが、柔道を通じて国際大会や合宿に行ったり、海外の多くの選手が道場に来る中で、次第に海外に興味が出てきました。しかし当時の私は、海外の友達が出来ても自分の思っていることが伝えられませんでした。
それまではすごく恵まれた環境で、たくさんの方達に助けられ守られながら思い切り柔道をさせてもらっていたので、留学先は初めての場所で自分がどこまで出来るか試してみようと思い、バンクーバーに決めました。
語学学校と週に数回、地元の柔道クラブに行き徐々に友達も増え充実した1年を過ごすことが出来ました。その後コーチとして三井住友海上に戻りましたが、結婚を機に2010年10月にバンクーバーへ移住しました。出産・育児は予想外の連続で大変な時もありましたが、育児は今しかできないと思い、全力で楽しみました。今では2人の子供達も小学生になり、少し時間が出来たので学校へ通ったり、最近はコーチングのコースを受けたりしています。こちらに来て数年間柔道から離れていましたが、子供たちが習い始めたのをきっかけに、私も道場に行くようになりました。今では2つの柔道クラブで指導しています。自宅からすぐ近くのスティーブストン柔道クラブでは他の先生方と分担しながら子供・大人クラスを教えています。バンクーバー警察柔道クラブでは、子供の初級と中級クラス、女性クラスを担当しています。まだまだ慣れない事ばかりですが、たくさんの方に助けられながら現役時代とは違った経験をさせて頂いています。

今改めて柔道を頑張ってきて良かったと思います。柔道を続けてきたからこそ経験できた事や出会えた人々、全部が私の宝物です。そして私がたくさんの事を柔道から学んだ様に、今度は私が伝えていけたら良いなと思っています。

コロナの影響で大会が中止になってしまったり、私自身もなかなか日本の家族や友達に会えず寂しい時もありますが、今しか出来ない事を精一杯頑張りたいと思います。
最後に、バンクーバーは住みやすくとても良い所です。いつかご家族と、お友達と、生徒さんと一緒に柔道衣を持って遊びに来てください！待っています！！

次回は、横澤さんが現役時代アテネオリンピックをはじめ多くの大会や合宿を共にした、谷本歩実さんが登場します。