プロフィール
真壁 友枝 (まかべ ともえ)1974年 岡山県生まれ
三井住友海上火災保険株式会社 岡山支店津山支社長、女子柔道部特別コーチ
講道館柔道女子六段
主な戦績:
1998年 アジア競技大会(バンコク) 48kg級 優勝
2002年 全日本選抜柔道体重別選手権大会 48kg級 優勝
この度、矢嵜(旧姓:茂木)より紹介を受け、これまでの全60回の女子柔道に関わる皆さまの投稿を改めて拝読しました。今回、その一員になれることを大変光栄に思っております。
紹介をいただきました茂木とは、年令は4つ離れていますが、打ち込みパートナーに始まり、時には技や組み手の研究をしたり、時にはケガした箇所をお互いに治療し合ったり、試合前には減量のため一緒にお風呂に行ったりと、まさに苦楽を共にした仲間であり、生涯の友人です。
私が柔道を始めたきっかけは、小学校の転校を機に、「友達作り」を目的にスポーツ少年団に入団したことでした。小中学生の頃は、その日が練習なのか、試合なのかもわからない程の毎日でしたが、高2の春高で優勝したことで、「全国で戦える選手になりたい」と思ったのが初めて持った夢でした。
転機は、三井住友海上火災保険株式会社(旧:住友海上火災保険株式会社)に入社してから3年目に開催されたアトランタオリンピックでした。恵本さんが出場し、日本人初の金メダルを獲得する感動を現地で感じました。やっと「私もこの舞台に立ちたい」と思うことができ、明確な目標が持てました。その後は、オリンピック、世界選手権の代表を目指して取り組んできましたが、1998年のバンコクアジア競技大会が唯一の代表でした。2003年に現役を引退し、2008年北京オリンピックまで柔道部のコーチ兼マネージャーをさせていただきました。他にもジュニアクラブと称して、山岸絵美、中村美里などの当時の高校生を指導する機会もいただき、この5年間の経験が今でも役立っていると思っています。
2008年に柔道部を退部し会社に残り、現在は岡山支店津山支社長という役割を担い、組織長として日々活動しています。柔道を始めたころの私からすると想像できない毎日ですが、今この立場になって思うことは、「やろうと思えば、なんだってできる」ということです。日々の業務の中で、取引先企業の社長から伺う貴重なお話や、SDGsや地域創生に挑む自治体の方々など、たくさんの方々と接することで、人として成長できる大切な時間を過ごさせていただいていると感じています。失敗もするし、へこむこともありますが、それも全て経験として自分の引き出しになると思い、とにかく挑戦していくことを意識して伝えています。何よりも、目標に向かって挑む覚悟さえあれば、いつでもなんにだってなれる。今は、夢や目標が明確に見えなくても、頑張り続けることで見えてくる。自分で決めて、歩み、積み上げた経験に、無駄なことは一つもない。そう思っています。
柔道を通じて世界中に友達ができ、当初の目的であった「友達作り」は達成しつつありますが、まだまだ広げていきたいと思っていますし、柔道普及活動と合わせ、損害保険会社の社員として、社会的責任を果たすべく日々精進することで、これまで支えていただいた皆さまに少しでも恩返しができればと思っています。
先般開催された東京オリンピックを観戦して、必死に戦う姿に胸が熱くなり、改めて感動と勇気をいただきました。自分もまだまだ頑張らなければと思っております。
次回は、真壁さんの現役時代の後輩であり、現在はカナダで柔道指導をしている横澤由貴さんが登場します。