IJFルール改正の動きについて(報告)(2006.11.3)
2006.11.1 アジア柔連審判理事・全柔連審判委員長 川口孝夫
- IJFルールの改正について
昨年のIJF総会で提案承認された内容は、場内外の判断で「攻撃動作が続いている場合に限り、取り・受けのどちらか一方の選手が場内にいれば、その技は有効である。また、危険地帯(赤畳)5秒ルールは廃止。
このことについて各大陸でテストを行い、2006年10月の世界ジュニアで最終テストを行う。問題なければ改正の方向で進む。 - ヨーロッパ柔連の動き
ヨーロッパ柔連は「攻撃動作が続いて・・・」のところを「動作が続いて・・・」と間違って解釈したためか、試合中に場外に出てもすぐに場内に入れば「まて」を掛けずに試合を続行させていた。
また、「反則についても頻繁に取らず、投げ技によって決まるのがダイナミック柔道である」「反則も今までとは違って少なくして試合を途切れることなくできるだけ継続させる」とIJFでは確認されていない内容にも取り組んだ。 - IJF審判委員会の動き
先のフランス・パリで開催されたワールドカップ国別団体戦(9月16-17日)の前日、IJF審判委員会が開催され、ヨーロッパ柔連が取り組んでいる「場 内外判断の改正」のテスト方法は誤解が生じるものであり、確認されたものでないとの結論が出た。(日本の取り組み方法が正解) - 混乱
- 今年の春先からヨーロッパの各種大会に参加した日本の選手や審判員は事前の情報と実際の取り組みに違いがあり混乱した。
- アジアや日本では軽はずみにテストを行うことに違和感があり、アジアでは5月のアジアジュニアで、日本は9月の全日本ジュニアが初のテストであったため情報の混乱から取り組み内容に戸惑いが出た。
- フランスでのワールドカップ前日の審判会議でも審判員に対しIJFの公式な方針を強く求めたがヨーロッパの審判員が多くを占め、直前まで取り組んでいたヨーロッパ流の思想が残った感があった。
- ルール改正の時期
ルール改正は本来IJF総会で決定するが、近年、IJF理事会で承認された場合即刻適用され、2年に一度のIJF総会では事後承認の形式となっている。
この形式で進むと、今回の改正は来年9月上旬開催されるIJF総会で決定され、直後の世界柔道選手権大会でも当然新ルールが適用されるはずだ。
したがって、今回の「場内外の判定改正」は10月16日ドミニカ共和国・サントドミンゴで開催されるIJF理事会で承認される予定で進んでいたが理事会が12月15日福岡で開催されることに延期されたため決定が遅れ、今年の福岡国際女子からが正式スタートとなるであろう。
しかし、テストケースとして取り組むことが承認されているため、これまで世界各国で開催されている各種国際大会や福岡国際女子を含め、実質新ルールとして取り組むことが妥当な見解と思われる。
また、危険地帯5秒ルール反則が廃止になることから、自動的に危険地帯(赤畳)を撤去する意向が強く、アジアや日本の反対を押し切って2色の試合場に変 更される可能性が出てきた。ただし、IJF主催のオリンピックや世界柔道選手権大会は義務付けるが、そのほかの国際大会では強制しないとの動きだ。