報告者:廣瀬 誠・米田真由美
アスリート委員会は2月8日の視覚障害柔道強化合宿において、交流会を実施致しました。
この日は各地が大雪に見舞われ、無事に選手・委員が集まれるか心配される中の開催でしたが、普段の行いのおかげか、無事に参加予定の委員全員集まることができました。
まず、田辺陽子委員長・近藤秀作副委員長より、視覚障害柔道の役員・選手の皆さんに対して、アスリート委員会設立の主旨や今後の活動についての説明と、グランドスラム東京大会で実施した活動の報告を行いました。
続いて、視覚障害柔道から選出されている廣瀬誠委員・米田真由美委員より今後の抱負が語られました。
その後、通常の合宿がスタート。アスリート委員も一緒に準備運動から参加。同日にやはり同じく講道館にて強化合宿を行っていた形競技の大森千草委員も「気になって見に来ました」と一緒に打ち込みを行い、濵名智男委員も視察に来られるなど、委員の意識の高さが伺えました。
準備運動を終えたあと、穴井隆将委員より、自身の柔道人生についての講話が行われました。ロンドン五輪でメダルを逃した後、全日本で優勝して笑顔で引退するまでの経緯を中心に「努力は必ずしも報われないこともあるが、努力したことは決して無駄にはならない」とパラリンピックを目指す皆さんへのエールを送りました。
続いて、「崩し」についての講習を行い、ひとり、ひとりと実際に組みながら、確認しながら助言を行いました。
「視覚障害柔道は組んだままの状態が続くので、皆さん肩に力が入ったままになっている。力を抜く時とのメリハリをつけると、動きも大きくなり、相手を崩しやすくなる」(穴井委員)
次に、福見友子委員は高校生で谷亮子選手に勝ったことによる環境の変化への戸惑いや、そこからロンドン五輪出場を成し遂げるまでの経緯を中心に自身の柔道人生を振り返り「自分が学んだことを今はひとりでも多くの人に伝えたい、と思っている。ロシアでの指導では、彼らの吸収しようという姿勢が私にも励みになっている」と指導者としての意気込みを語りました。
引き続き、立技から固技への移行を意識した練習方法についての指導を行い、さらに選手からの「福見選手は亀になった相手を返すのが上手い。そのコツを教えて」というリクエストに答えての実演を行い、選手たちは、上衣のどこを掴むのか、実際に触って確かめていました。
最後にアスリート委員と参加選手の皆さんでの乱取りを行い、交流会を終了しました。
窓の外は猛吹雪でしたが、道場内は皆さんの熱気で窓が曇るほどの活気でした。
遠藤男子監督、井上女子監督と役員の皆さん。補助の日体大柔道部員の方と。
アスリート委員より
●廣瀬委員
「合宿に参加した視覚障害者選手からは、普段は聞けない柔道に対する思いや大会前後の精神面の話を聞くことができてよかったという感想や、『見取り稽古』が困難な我々にとって、一流の技を手取り足取り教えていただけたことがとても好評でした。今後もこの取り組みを継続して欲しいという声がありました。
私自身としては、アスリート委員に『視覚障害者柔道』を実際に知っていただいたことが有意義だったと考えています。また、選手のなかには、純粋に有名な選手が目の前にいることに感銘を受けた選手もおり、モチベーション向上など今後の合宿の活性化につながるものと確信しています」
●米田委員
「今回、参加した女子選手は私を含め5人と少なかったですが、元代表選手の方々に直に講習会やお話を頂く機会はなかなかありませんので、選手それぞれにとても良い刺激になったと思います。
ひとりひとり選手を回って下さったことや技の状態など触って確認できたことで、普段ではわからない状況なども確認できて勉強になりました。講習だけでなく、自身の体験談などを含めお話頂けたことで選手の試合・練習に対する捉え方にも変化が出てきたのではないかと感じました」
●福見委員
「私自身も、とても勉強になりました。(大幅に予定時間をオーバーしての実施だったが)もっと交流したかったし、またこういう機会があるといいと思います。」
●穴井委員
「私自身にとっても充実した貴重な機会となりました。こういった機会を通して各選手同士の交流が深まり、アスリート委員会の活性化に繋がればと考えます。オリンピック、パラリンピックそれぞれの代表が、お互いにいい成績を出せるように協力していける環境を作り出せるよう、今後も頑張っていきたい」