平成27年12月9日
関係各位
公益財団法人全日本柔道連盟
審判委員会委員長 西田 孝宏
少年大会における俗称「韓国背負い」の取り扱い並びに
国内における「少年大会特別規定」への反映について
平成22年5月1日施行の「少年大会申し合わせ事項」を、暫時試合運用の一指針として参りました(平成23年6月14日部分変更)が、IJF新規定(解釈)の内容との整合性が担保しにくい箇所があることを認識し、全日本柔道連盟審判委員会では、平成26年4月より、少年の安全性を配意した改定作業に取りかかり、その第一ステップとして、平成27年3月31日 に改正、平成27年6月1日施行に及びました。
上述しました平成27年6月1日施行「少年大会申し合わせ事項」の改定では、申し合わせ事項における文言の精査や試合における少年の安全面の配慮を中心とした部分改定と致しました。その結果、試合者が、立ち姿勢、寝姿勢であるに関わらず、審判員が試合者の危険を予見できれば、安全配慮義務を行使する意味において、即座に「待て」を宣告することが妥当であることを強調致しました。
ところで、過日に行われた少年の大会におきましても、俗称「韓国背負い」*の施技によって、投げられた選手が後頭部から落下し、脳振盪等を起こすケースが報告されています。少年柔道の基盤は「基本の習得」と「安全管理」であることは明白です。そこで、全柔連審判委員会では、現行の「国内における少年大会申し合わせ事項」の更なる改定の必要性を再認識し、第二ステップとしての改定作業に着手しておりました。
今回の改訂検討の結論として、特に発育発達段階の視点から、全柔連主催の少年の大会(中学生以下)においては、俗称「韓国背負い」*の施技を禁止とし、施した場合には「反則負け」とすることにしました。
また、「少年大会申し合わせ事項」の名称を「少年大会特別規定」と改称するとともに、これまで「韓国背負い」*と呼称されてきた名称についても通称を「逆背負投」とし、規定の内容につきましても、安全性への考慮が分かり易いように改定を致しました。
そこで、関係各団体におかれましては、以上の趣旨をご理解戴き、各団体関係者及び選手への啓発・ご周知をお願い申し上げます。
注*)俗称「韓国背負い」とは、韓国代表の選手が国際大会等で近年から施技しだした技術であり、おもに喧嘩四つの組み手において、正しく組んだ釣り手側の前襟を両手で握りながら、捻りを加えて後方に投げ落とすように掛ける背負投のような技を指します。
施技が変則的であり、投げられた試合者にとって、受身がとりにくい体勢で背中及び後頭部から畳に落下したり、腕が絡んだ状態となったりなどの恐れがあり、危険を伴います。国内の少年大会等において、重篤な事故につながったという報告は届いておりませんが、施技に伴う受傷が危惧されています。
今回の改定では通称「逆背負投」として明記し、今後呼称していくこととしました。