平成27年度より国際貢献事業の一環として行っている「学生ボランティア海外派遣」について、平成29年度春季派遣を2018年2月から3月にかけて実施しました。(派遣先:ブータン、インドネシア、モンゴル) 春季派遣が無事終了し、今回派遣者に集まってもらい報告会を開催いたしました。 報告会には、派遣前研修会の講師をご担当いただいている全柔連国際委員である光本健次先生とインドネシアで学生の受け入れをして頂いております安齋俊哉先生にもご出席いただきました。 報告は、派遣国ごとに行い、現地でどのような活動を行ったか、また柔道を通じた国際交流で学生たちが感じたことなど、約30分に渡り発表をしてもらいました。 今回の報告会を通じて得た感想や意見などを参考に、今後本事業をより良いものにしていくよう尽力していきます。
ブータン
発表者
川内 美咲(立命館大学)
畑谷 大樹(拓殖大学)
派遣期間
平成30年2月5日~19日
ブータンでは、ブータン柔道協会会長ご夫妻のご協力の下、ブータンで唯一の柔道場であるペルキルスクール内にある道場で、青年海外協力隊の柔道隊員である内田美優さんと共に、初心者~シニア選手と一緒に練習をしたり、指導をさせてもらいました。 学校がある期間中だったため、午前中は既に高校を卒業しているシニア選手と共に道場や校庭でトレーニングを行い、夕方に柔道の練習を行いました。ブータンの選手は大技を好む傾向があるので、足だけの乱取りや立技から寝技への連携などを練習に取り込みました。 また、国際柔道連盟の新ルールの説明会を行い、新ルールを適用した練習試合も開催されました。練習試合の後には、会長ご夫妻にモモと呼ばれる餃子のような食べ物をふるまって頂き、選手と一緒に楽しい時間を過ごしました。 ブータン柔道協会は、2016年に国際柔道連盟に加盟したばかりの新しい協会で、予算もあまりないため、選手はなかなか試合経験が積めず、道具の確保等難しい問題もありますが、選手たちは南アジア選手権・競技大会でメダル獲得を目指して一生懸命に練習していました。 ブータンでは、唐辛子やジャガイモをチーズで煮込んだ料理や、モモがよく食べられており、全体的に辛い料理が多かったです。 滞在最終日には民族衣装を着て、ブータンの選手達と一緒にタクツァン僧院まで登山をしました。参拝の方法など詳しく説明してくれ、さらに選手達との距離が縮まったように感じました。 ブータンでの経験は何にも代えられない素晴らしいものであり、またブータンへ戻って、選手達と一緒に柔道がしたいです。
ジャカルタ
発表者
林 崇臣 (拓殖大学)
室山 健吾 (桐蔭横浜大学)
派遣期間
平成30年2月16日~25日
ジャカルタ在住の安齋先生のご協力の下、ジャカルタで10日間の活動を行ってきました。 ジャカルタでは、まず安齋先生が指導されている、クラバカディ道場を訪問しました。この道場では、毎日2回の練習を行っており、ナショナルチームの選手もいるため、かなりハードでレベルの高い練習が行われておりました。選手たちに技を教える機会をもらい、選手・コーチ・父兄合せて100名の方が参加する中、内股透や寝技の横返しなどを指導しました。 その後チロトという場所で行われるナショナルチームの合宿へ参加しました。通常であればバスで2時間ぐらいでつくところ、道路が工事していたため、8時間以上かかりました。年中暑いインドネシアでエアコンもない車内に長時間いるのは大変でした。ナショナル選手との合宿では肩車を器用におこなう選手が多かったように感じました。また、インドネシアのナショナル選手のレベルが高くて驚きました。 ナショナルチームの合宿後には、青年海外協力隊の藤中拓馬さんが活動されているラグナン体育専門学校へ2日間滞在し、練習を行いました。ここは、布団もなく、シャワーもない環境で、ホースで水浴びをしました。屋根も低く、冷房もない暑い道場で、サーキットトレーニングを長時間行ったあとに乱取など、ハードな練習がおこなわれておりました。 3か所の道場を訪問して、右組・左組どちらも平均的に器用に使う選手が多かったことに驚きました。また日本での練習環境がとても恵まれていることに気付かされました。とても厳しい練習でも妥協せず一生懸命に取り組んでいるインドネシアの選手を見て、自分が柔道を初めた頃の初心を思い出しました。
モンゴル
発表者
長船 凌弥 (拓殖大学)
※もう1名の派遣者、山口駿輔(桐蔭横浜大学)は卒業式のため欠席
派遣期間
平成30年2月21日~3月5日
モンゴルでは、東海大学柔道部を卒業したゲンデンさんにご協力いただき、色々な道場で活動を行いました。 到着翌日、首都ウランバートルから車で8時間かけてムルンという町まで移動し、2日間柔道指導を行いました。小中学生が中心で、以前青年海外協力隊の柔道隊員がいた地区だそうで、礼儀や整列がとてもきれいだったのが印象的でした。基本的なことを指導し、乱取を行いましたが、体の力が強く、生まれ持っての運動神経が抜群によいと感じました。 次にモンゴル第3の都市であるエルデネットへ移動しました。ここでは幼稚園生~社会人までたくさんの競技者がいて、サンボの世界チャンピオンも一緒に練習し、内股や背負投の指導をさせてもらいました。ここでは柔道場ではなくレスリング場での練習でした。 3か所目はウランバートル市で活動している、モンゴル柔道アカデミーへ訪問しました。ここはモンゴルで一番大きな規模の柔道クラブで、登録人数は500人を超えると聞きました。指導者もたくさんいたため、基礎がしっかりとしていて、経験年数別にクラスが分けられており、練習環境が一番整っていました。モンゴルのナショナルチームもこちらで練習しており、夕方にナショナルチームと、夜に一般の練習生とともに練習に参加しました。 その他にもゾーンモドという地区にある警察学校へも訪問し、受身や技の説明を中心に指導させていただいたり、日本人の方がいる道場へも訪問させていただきました。 今回の派遣では、モンゴルのとても寒い気候に驚きましたが、柔道を通して子供から大人まで交流できたことや、モンゴルの歴史や食文化を学ぶことが出来ていい経験になりました。