【男子】王者モラエイ初参戦、迎え撃つ日本勢は絶好調の永瀬貴規筆頭に厚い陣容
2018年世界王者サイード・モラエイが参戦。ここ3年間「優勝候補20人」というべき混戦状態にあった81kg級は、五輪前年の今年に至ってついに軸になる強者が定まり始めた。モラエイはその中核である。必殺技はもとレスリング選手の出自を濃く感じさせる「反り技」(肩車)。東京世界選手権では母国イランの政治問題(イスラエル選手との対戦拒否強制)により本領を発揮出来なかったが、今回からは難民選手団所属でエントリー。新たな一歩を踏み出す。迎え撃つ日本勢は、長く負傷で苦しんだ世界王者永瀬貴規がもっか国際大会3連勝と絶好調。昨年世界選手権2位の藤原崇太郎、ワールドマスターズ王者の佐々木健志と厚い陣容で地元優勝に挑む。
73kg級は東京世界選手権を制した大野将平が欠場。2017年の世界王者橋本壮市に大きなチャンスが巡って来た。今大会に優勝して来るべき再対決、そして五輪代表獲りへ体勢を整えたい。変幻自在の組み手から繰り出される「橋本スペシャル」(片手の袖釣込腰)に注目。海老沼匡にリオ五輪66kg級金メダルのバジーレ(イタリア)と有力選手は数多いが、東京世界選手権で暴れまくったホジャゾダとマフマドベコフのタジキスタン勢2人は今が旬。ひときわ注目である。
日本代表選手
73kg級:橋本壮市(パーク24)、原田健士(日本体育大3年)、海老沼匡(パーク24)、立川新(東海大4年)
81kg級:藤原崇太郎(日本体育大3年)、永瀬貴規(旭化成)、友清光(国士舘大3年)、佐々木健志(ALSOK)
【女子】捲土重来期す新井千鶴、地固めねらう田代未来
70kg級に人材が揃った。昨年まで世界選手権を2連覇した新井千鶴を筆頭に、選抜体重別の覇者大野陽子、アジア大会王者新添左季、東京世界選手権で銀メダル獲得のティモ(ポルトガル)、復活気流に乗ったポリング(オランダ)、長身の寝業師ベルンホルム(スウェーデン)と有力選手は枚挙に暇なし。最大のみどころは、東京世界選手権で3回戦敗退という意外な結果に終わった王者・新井の出来。同大会で苦杯を喫したティモもエントリーするこの大会は「出直し」には格好の場、どんな柔道を見せてくれるか。
63kg級は、東京世界選手権決勝で絶対王者アグベニュー(フランス)と11分超えの激戦を演じた銀メダリスト田代未来が第1シードを張る。「アグベニュー以外に敵なし」という内外ともに認める現在の立場を更新・継続できるかどうかが今大会のテーマ。海外勢は五輪金メダリストのトルステニャク、東京世界選手権3位のフランセンら強豪が参加するが、相性的にも力的にも田代の優位は揺るぎなし。ライバルは鍋倉那美、土井雅子ら日本勢。「まだ世界を獲っていない」田代の首を掻いて五輪代表の座に挑まんと、虎視眈々とアップセットを狙う。日本育ちで韓国からの五輪代表が有望なチョ・モッキにも注目。
日本代表選手
63kg級:田代未来(コマツ)、鍋倉那美(三井住友海上)、土井雅子(JR東日本)、幸田奈々(帝京科学大4年)
70kg級:新井千鶴(三井住友海上)、田中志歩(環太平洋大3年)、新添左季(自衛隊体育学校)、大野陽子(コマツ)