――髙田先生が柔道を通じてサウジの人に教えたいことと、学んでほしいことは?
学んでほしいことは、人や物に対して感謝の気持ちを持ってほしいということです。大学の道場にも、練習の最初と最後は、感謝の気持ちを込めてきちんと礼をするようにと、紙に英語で書いて貼っていました。
大学のジムは、夜の7時になったらジムが閉まってしまうんです。以前、練習でちょっと7時を過ぎてしまったことがあって、管理人さんに消灯されてしまったんです。そのとき、一人の子が「最後に道場と先生に礼をしよう」と言い出して、みんな「そうだね」と。真っ暗のなか、一列に並んで「ありがとうございました」と言って終わったんですね。サウジに行って3カ月ぐらいのときの出来事だったんですけど、そのときに、礼儀に関しては、少し伝えることができたかなと。嬉しかったですね。
――髙田先生自身まだお若いですけれども、今後、海外での指導を目指している若者にメッセージがあれば。
私自身、まだまだ未熟で、経験も少ないんですが、海外に行くことで自分の視野も広がると思います。私自身は、苦しくても楽しむことを一番に考えているので、それをいつも自分に言い聞かせています。いまもサウジとの契約が切れて苦しい思いをしていますが、サウジに戻ったときには、もっといろんなことを伝えられたらという思いで、宗教のことや英語の勉強をしたりしています。柔道に関しても、もっと自信をもって教えることができるように、もっといいコーチになって帰ろうというモチベーションでやっていて、コロナが落ち着いたら、(サウジアラビア柔道連盟と)再契約できればいいなと思っています。そのために、いま、エネルギーを貯め込んでいるところです。
プロフィール
髙田 知穂(Chiho TAKADA)
生年月日:1991年9月18日生まれ
出身:熊本県
6歳から柔道を始める
熊本県立阿蘇高校→山梨学院大学→自衛隊体育学校
コーチキャリア:サウジアラビア柔道連盟所属で女子選手の指導
元居住地:サウジアラビア(リヤド)