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【女子柔道振興委員会】JJ Voice No.6 増地千代里さん

プロフィール

増地 千代里(ますち ちより/旧姓:立野)1970年大阪府生まれ
全日本柔道連盟強化委員会特別委員 講道館柔道女子六段

主な戦績:

全日本女子柔道体重別選手権大会3連覇(1991年〜1993年)
1992年 バルセロナオリンピック 56kg級 銅メダル
1993年 世界選手権大会(ハミルトン)56kg級 2位

皆さん、こんにちは。増地(旧姓:立野)千代里です。私は1999年に現役を引退したのち高校、大学、全日本の指導者を経て、2013年〜2016年まで全日本女子強化部長、兼強化副委員長を務めさせていただきました。現在は全日本柔道連盟強化委員会特別委員として、選手強化を始め、国際大会の派遣選手や日本代表選手の選考などに携わっています。

私自身ありがたい事に現役引退後も、指導者として柔道に携わることができる環境に身を置いていたのですが、2013年、私にとって突然のできごとが起こりました。その当時、全日本強化委員長であった斉藤仁先生から、柔道界で前例のない女性で初となる全日本女子強化部長、兼強化副委員長の依頼がありました。しかし、私がこの話を頂いた当時、小学6年生の長男を筆頭に末娘が4歳と3人の子供がいました。そのため、この職務を引き受けるにあたって真っ先に考えたのは家庭のことでした。悩んだ末、主人から「家の事は全面的に協力するよ」と背中を押してもらい、引き受けることを決意しました。強化部長としての役割は、選手強化はもちろんのこと、自分の実体験と指導現場での経験を伝えること、そして母として、女性としての視点を持って取り組みたいと考えました。そして、これから女性が活動することができるように様々な負担や犠牲を少しでも軽減するシステムを構築することを目標に掲げました。

強化部長就任後に真っ先に取り組んだことは、大会会場に託児室を設けることを連盟に働きかけることでした。私と同じように、試合会場に行けば、子供がいる女性指導者や審判員は親に預けることができず、会場へ子供を連れて来て知人に面倒を見てもらっている光景をよく目にしていました。そこで、大会期間中、児童を同伴する必要のある大会役員、審判員、係員、監督、コーチの為の環境を整え、関係者全てが参加しやすい大会になればと考えました。ありがたいことに、全日本柔道連盟北田典子常務理事にご尽力いただき、女子柔道部があるコマツ、三井住友海上、了德寺大学に協力していただけることになり、2013年に全日本柔道連盟が大会でのスマイルルーム(託児室)を開設することができました。現在、全日本柔道連盟が主催するほぼ全ての大会でスマイルルームを設置し、女性役員だけでなく男性役員の子供も利用できるようにし、多くの関係者に評価を得ています。

私自身、斉藤先生からこの話をいただいた際、女性だから、子供がいるからと無理だと思っていましたが、強い意思があれば乗り越えていけるということを改めて経験しました。社会に出て働くということは、どんな職業であれ、選手をしている時と同じで目的や目標を持たなければ、その道を追求できません。皆さんも自分の信念を曲げずに頑張ってください!コロナ禍で大変な時ですが、柔道界が一丸となって頑張っていきましょう!

2013年、初のスマイルルーム(講道館杯)にて次男と

 

 

次回は、増地(旧姓:立野)千代里さんの筑波大学時代の先輩にあたる、
カリウ・佐々木光さんが登場します。

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