プロフィール
宇髙 菜絵(うだか なえ)1985年愛媛県生まれ
株式会社ブイ・テクノロジー女子柔道部監督
講道館柔道女子五段
主な戦績:
2013年 グランドスラム東京 57㎏級 優勝
2014年 全日本選抜柔道体重別選手権大会 57㎏級 優勝
2014年 世界選手権大会(チェリャビンスク) 57㎏級 優勝
私は愛媛県で生まれ育ち、愛媛の短期大学を卒業後、帝京大学に編入しました。その後、コマツ女子柔道部に13年間所属し、この春より株式会社ブイ・テクノロジー女子柔道部の監督に就任致しました。6歳から柔道を始め、今年で競技歴が30年になり、現在も現役選手として挑戦しております。沢山の方に支えられ、応援していただくことで今でも畳に上がり大好きな柔道を続けられています。今年で36歳になりますが、現在も現役女子柔道選手として挑戦を続けている私から、これまでの経験を通して感じたことや学んだことをお話しさせていただきます。私は2010年の世界選手権に出場しましたが、3回戦敗退。全く思うようにいかず、稽古の成果も出せず引退も考えました。ですが、まだ辞めたくないと思い、それから4年間を崖っぷちの思いで繋ぎ、2014年の世界選手権の代表権を再度獲得しました。大会2ヶ月前に右膝前十字靭帯断裂というアクシデントがありましたが、ラストチャンスだという気持ちで戦い優勝という結果を残すことができました。最大の目標であったオリンピックに向けて、その後も尽力しましたが、目標を叶えることができず、その時私は31歳。年齢的にも進退を本気で考えました。ですが、試合を何度やっても私は自分の現役選手としての人生に満足出来ず、「強化選手を外れるまでは。畳に上がれるまでは。」と諦めきれず続けましたが、遂に2018年の講道館杯を2回戦で敗退し強化選手から外れました。その時33歳の私は、もう満足だ!と思うことは全くなく、「悔しい!」の一言。こんな悔しい思いで終われないという思いでしかありませんでした。ですが、強化選手も外れ翌年の講道館杯の権利もなく、実業団個人戦からのスタート。周りはもう宇髙は限界なんじゃないか?と思う人がいたかもしれません。でも、そんなことは私には関係なく、幾つになっても挑戦するのに制限なんてないと思いました。昔のような練習量はこなせませんが、気持ちだけは若く元気に稽古をしました。まだまだやれるというアピールも兼ねていましたし、何より自分に向けてのエールだったのかもしれません。講道館杯をかけた実業団個人戦、この日まで覚悟という言葉を使った時は幾度となくありましたが、この日の覚悟は本物だったと自分でも自信をもって言える内容の戦いができました。無事に講道館杯に繋げられ、2019年の講道館杯の畳に上がりました。もちろん優勝を目標にしていましたが、結果は5位。5試合戦って私が一番に思った感想は「まだやれる」。私は、自分が挑戦を続けることが本当に好きなんだと心から感じました。私は現在もブイ・テクノロジー柔道部の監督に就任しましたが、選手としても挑戦を続けさせていただいています。会社の理解にとても感謝していますし、何度負けても変わらず支えてくださる方々のおかげだと思います。年齢を重ね自分の現役生活の進退に悩む時がきた時、私のように幾つになっても柔道が大好きで挑戦している選手がいることが、少しでも皆さんの刺激や励みになることが出来れば嬉しいです。
現在、新型コロナウィルスの影響で沢山の方々が思い通りにいかない日々を送っているかと思います。柔道が出来、畳に上がれることが当たり前ではないと感じた今、これまで以上に一日一日を大切に自分の納得のいくまで尽力してほしいと思います。
私も現役生活はもちろんですが監督としてスタートした今、新たな挑戦に力を尽くし、たくさんの方に応援してもらい、たくさんの方に感動と勇気を与えられる柔道家を育てられるよう一歩一歩、歩んでいきたいと思います。
尊敬する柔道家であるオーストリア57kg級代表のサブリナ・フィルツモザー選手。
サブリナ選手は私よりも年上で、現在も世界の舞台で戦っています。※コマツ在籍時の写真
次は、宇髙菜絵さんの大学、実業団(帝京大学→コマツ女子柔道部)時代の
先輩にあたる宝真由美さんです。