プロフィール
田辺 陽子(たなべ ようこ)1966年東京都生まれ
日本大学法学部 教授 講道館柔道女子七段
主な戦績:
1988年 ソウルオリンピック 72kg級 銅メダル
1992年 バルセロナオリンピック72kg級 銀メダル
1996年 アトランタオリンピック72kg級 銀メダル
1987年 世界選手権大会(エッセン)72kg級 3位
1989年 世界選手権大会(ベオグラード)72kg級 2位
1991年 世界選手権大会(バルセロナ)72kg級 2位
1995年 世界選手権大会(幕張)72kg級 3位
1987年~1992年 全日本女子柔道選手権大会 6連覇
1986年~1992年 全日本女子柔道体重別選手権大会 72kg級 7連覇
引退後のキャリアについて
2020年東京オリンピックは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2021年夏に延期された。女子柔道がオリンピックの正式種目となった、1992年バルセロナオリンピックから8回目の大会を迎えようとしている。現在の女子柔道競技はオリンピック種目にも定着し、社会の認知も得て、スポーツにおける確固たる地位を確立しつつある。この間、日本女子は世界で堂々たる成績を収めるまでになり、世界の舞台を踏んだ競技者を数多く輩出してきた。この選手たちがその後、どのような活動をしていくか。それがこれからの課題ではないかと私は考えている。
昭和9年に講道館女子部が正式に発足された。私が感じるには当時、女性が柔道の稽古をすることがどれほど大変であったことかわからない。そのような状況においても毎日稽古に励まれた諸先生方や諸先輩の活躍があり、また女子柔道を守っていただいた多くの方々により今日があると考える。このように、自分たちの経験を柔道界、スポーツ界に還元していく、それが現役選手、また将来を担うジュニア選手たちの指針になっていき、日本女子柔道の新たな歴史となっていく。
私自身はアトランタオリンピックを終えたあと、30歳で第一線を退いた。現在は柔道の普及のため、様々な面からお手伝いをしている。近年では海外で指導する機会にも恵まれ、国際化した柔道、異なる文化のなかで発展した柔道を肌で感じることも増えた。そこで感じることは、グローバル化・多極化の荒波に挟まれる時代においては、新しい切り口や、他の組織とも連携を取りながら社会的意義のある新たな柔道の持っている価値を創造し共有することが求められるのではないか。
このページを通じて、柔道に関わる女性達の活躍を発信し、情報の場を持つことは、ネットワーク作り、コミュニケーションを深める意味においても重要であり、今後の女子柔道全体の更なる発展につながることと信じている。今回のJJ Voiceのリレートークに参加できたことを嬉しく思う。
次回は、今年からスタートした東京都柔道連盟女子柔道振興委員会で
同じメンバーである坂東真夕子さんです。