
プロフィール
島田 美穂(旧姓/嶺井)1997年 埼玉県出身
ALSOK
講道館柔道女子四段
主な戦績
2014年 世界ジュニア選手権大会 63㎏級 優勝
2014年 講道館杯 63㎏級 優勝
2016年 グランドスラム東京 63㎏級 準優勝
皆さん、こんにちは。佐々木(旧姓:内尾)真子さんからご紹介をいただきました島田(旧姓:嶺井)美穂と申します。この度は、JJ Voice執筆の機会をいただき、大変光栄に思います。
真子さんは桐蔭学園高校時代の2学年上の先輩です。『ストイック』という言葉がそのまま当てはまる真子さんの姿は、高校に入学したばかりの私にとって非常に衝撃的で、尊敬と憧れの存在でした。
寮生だった私たちは、坂の多い土地で自転車通学をしていました。しかし、「トレーニングを兼ねる」という部の伝統により、電動自転車は禁止されていました。真夏の暑い日も雨の日も風の日も、私たちは毎日一緒に自転車通学を続けました。雨の日には、大きなゴミ袋に三つ穴を開けて頭と両腕を通し、それをかぶってびしょびしょになりながら坂を上りました。なぜカッパを着なかったのかは謎ですが、今思い返しても、真子さんととても楽しい青春時代を過ごさせていただいたことは、本当に良い思い出です。
今回は、私の柔道人生についてお話させていただきます。私は、スポーツ一家の次女として生まれました。両親は元陸上競技の選手で、姉はバドミントン、妹はバレーボールと、それぞれスポーツに励んでいました。柔道は未経験だった祖父に「この骨格は柔道だ!」と言われたことがきっかけで、5歳のときに柔道を始めました。その後、22年間にわたり柔道中心の生活を送り、27歳で現役を引退しました。
強くなりたい一心で歩んできた道のりは、決して良いことばかりではありませんでした。度重なる大怪我も経験し、辛かったことも苦しかったこともたくさんありました。もう柔道をやめようと何度も思いましたが、それでも幼いころから私の中にあった「柔道が好き、楽しい」という気持ちだけはどんな状況でも消えることがなく、私は柔道を続けることができました。
結果を求めて勝負の世界を歩む中で、楽しいと感じることがいけないことのように思えてしまった時期もありました。しかし、柔道に取り組む上で根底にあるものは「柔道が好き、楽しい」という純粋で素直な気持ちであり、その気持ちこそが原点なのではないかと思います。
私が現役を終えるときには、家族、恩師、先輩、後輩、そして友人の声援を受けながら戦うことができました。心の底から幸せな柔道人生だったと思えたのは、良いときだけでなく、苦しいときにも応援し続けてくれた人たちがいたからです。
現在はALSOKの社員として本社に勤務し、社内の運動部関係の部署に所属しております。環境が変わり、大変なこともありますが、学びの多い刺激的な日々を過ごしています。当社の所属選手が競技に集中し、充実した現役生活を送れるよう、自分の経験を活かしながら業務を全うしていきたいと思います。そして、柔道が与えてくれた多くの経験を胸に、また新しいステージでも「好き、楽しい」と思えるものを見つけ、幸せな人生を歩んでいきたいと思います。
私がバトンを渡すのは、今年度から東京国際大学のコーチに就任した瀬戸口栞南さんです。所属は違いましたが、栞ちゃんとは現役時代一緒に出稽古に行くことが多く、休みの日にはカフェを巡り、旅行に行ったり、柔道だけではなくプライベートでも思い出が沢山ある仲です。結果が伸び悩む中でも一緒に頑張ろうと励まし合い、講道館杯3位を同じ年に獲得できたのは一生の思い出です。ひたむきに努力をし、人に寄り添う優しさを兼ね備えた私の大好きな友人です。
- 瀬戸口さんの実家に旅行に行ったとき
- 大阪まで応援に来てくれた家族先輩友人
- 引退試合となった東京都選手権