プロフィール
柿澤 史歩(かきざわ しほ)1996 年 鹿児島県生まれ
JICA 海外協力隊 2023 年度 2 次隊バヌアツ共和国柔道隊員
講道館柔道女子参段
戦績:2019 年全日本実業柔道個人選手権大会 70 ㎏級 3 位
活動歴:2023 年 11 月からバヌアツ共和国で柔道隊員として活動中
はじめに、JJ Voice 執筆の機会をいただきました中村美里先輩、関係者の方に、心より感謝申し上げます。美
里先輩は、高校、実業団の先輩で、いつも憧れの存在でした。今も世界中でご活躍されている姿を見て、私も頑
張ろうと思えています。ありがとうございます。
私は今、JICA 海外協力隊員としてバヌアツ共和国で活動しています。オーストラリアのケアンズから東約
1,800 ㎞に位置し、南北 1,200 ㎞の範囲に 83 もの島が広がっている国です。人口は約 32 万 7 千人、エファテ島
にある首都ポートビラには約 4 万人が生活しています。主要言語はビスラマ語、英語、フランス語ですが、日本
のように場所ごとに方言があり、なんとその数約 138 言語です。季節は日本と真逆で、10 月から 4 月頃までは
蒸し暑く、5 月から 9 月頃までは涼しいです。町中にバナナ、パパイヤ(バヌアツではポポと呼ばれています)、
マンゴー、ココナッツなどが生えていて、パイナップルは芯まで食べられてとても甘いです。
バヌアツの生活では、時間の流れ方、会話の様子、住む場所、食べる物、着ている服、働き方、生き方、風習、
文化など、日本とは異なる人々の様子を見ることができ、実際に体験させていただいています。なぜか笑いのツ
ボやノリは日本人と近く、会話に溶け込みやすいです。毎日新たな発見があり、とても面白いです。現地で生活
してコミュニケーションをとらないと分からないことがたくさんあるなと感じます。
私がこの活動に挑戦しようと思ったきっかけは、応募時期にニュースで戦争の報道を見たことと、実業団時代
に美里先輩とインドやベトナムに行き、柔道教室に参加させていただいた際に、言葉が通じなくても柔道を通し
て違う国の人と仲良くなれた経験をしたことです。英語を全く話せない私が海外で生活するなんて思ってもみま
せんでしたが、今までやってきた柔道を通して少しでもみんなが仲良くなれるような活動をしたいと思い、応募
しました。この挑戦をきっかけに多くの方と交流し、切磋琢磨し合える仲間にも出会うことが出来ました。世界
中で活躍している隊員や柔道仲間に刺激され、私も自分なりに精進しております。
バヌアツには柔道クラブが 1 つしかないので、年に 2 回の試合ではいつも一緒に練習している子たちで行われ
ます。海外選手と交流する機会もなかなかありません。1 人 1 人の困っていることや今後の課題も状況によって
変わり、いろいろな人と接し、いろいろな場面に直面するたびに増えていきます。私自身の無力さを痛感させら
れる毎日ですが、まずは知ることから始め、わからないことは勉強し、相手の話を聞き、自分の意見も伝え、残
りの活動期間もみんなでより良い環境を作っていければいいなと思います。
困難なことがある一方でうれしい出来事もあります。先日行われた昇級試験で、バヌアツ人初の黒帯女性柔道
家が誕生しました。彼女が黒帯を締めた瞬間、今までの練習や彼女の頑張りを思い出して感動しました。今後、
他の選手は彼女を目標に頑張ってくれると嬉しいです。
隊員として任国へ派遣される前、訓練所や職種別訓練の先生方に、とにかく生きていることが一番大事と何度
も言われました。皆さんもいろいろなことがあるかとは思いますが、身体だけは大切に過ごしてください!