【女子柔道振興委員会】JJ Voice No.147：中山有加さん

中山　有加（なかやま　ゆか／旧姓：大住）1988年　徳島県生まれ
柔術家
講道館柔道女子五段

主な戦績
(柔道)2014年　全日本選抜柔道体重別選手権大会63kg級優勝
(柔術)2023年　アブダビワールドマスター62kg級優勝

皆様こんにちは。中山有加と申します。

まずはバトンを渡してくれたさえさ、ありがとう。さえさは大学時代の同期で、何度も過呼吸になりながら厳しい練習に耐え、結果を残してきた柔道家です。自分に厳しく、人に優しい。彼女にとって警察官はまさに天職でしょう。

そんなさえさは絵が得意で、特に漫画『NARUTO』のうずまきナルトを描かせるとまるで本物のよう。彼女の口癖も「だってばよ」です。ちなみに私は『NARUTO』には興味がないのですが、ナルトと縁の深い徳島県で生まれ育ちました。

実家の道場で3歳から柔道を始めましたが、柔道以外にもさまざまな習い事をさせてもらいました。小・中は勉強が好きで高校は進学校に進みましたが、高校生になると「勉強よりも柔道がしたい」と本気になり、受験戦線から離脱し弱小ながら環太平洋大学に入学。すぐに結果は出なかったですが、「好きこそものの上手なれ」の通り、好きで続けた結果25歳で日本一になることができました。柔道が好きで、特に寝技が大好き。現役時代はつらいこともありましたが、それ以上に楽しい日々でした。

その後、指導者となり、結婚・出産も経験しました。いつしか「自分の人生を主役として生きるのは終わったのかな」と感じるようになりました。特に子どもが生まれてからは、自分のやりたいことができず歯がゆい時期もありました。「やっぱり寝技が好きだし、もっと極めたい」その本心に真っ直ぐ向き合い、柔術家に転身しさらに高みを目指す決断をしました。

育児と競技生活の両立は試行錯誤の連続でしたが、寝技への情熱と、家族や周りの支えがあったおかげで乗り越えることができました。そして昨年、子連れでアブダビの世界大会に参戦し、ついに世界チャンピオンになるという夢を叶えることができました。

この経験が、同じように挑戦を続ける女性たちに少しでも力を与えられたなら、こんなに嬉しいことはありません。今後は、寝技の技術だけでなくキャリアや考え方など、異なる分野で得た知識を活かし、柔道界にも新たな視点でお役に立てればと考えています。

次に、このバトンを、大学・実業団(JR東日本)共に後輩にあたる土井雅子に渡します。寝技師として活躍しながら明るいリーダーシップでチームをまとめる元気印です！また寝技乱取たくさんしましょう！