⒉社会に有益な人材を育成する指導者⒊人権を尊重し多様性に配慮する指導者⒌柔道MINDを実践する指導者⒍自己研鑽により成長を続ける指導者⒋安全に配慮しコンプライアンスを徹底する指導者指導者養成システムの構築おわりに:柔道指導者への期待への理解は不可欠です。究竟の柔道指導者は、いかなる差別や偏見、ハラスメントも許さず、すべての人々の権利と尊厳を守る指導者です。性別、年齢、国籍、障害の有無など、多様な背景を持つ人々が、互いに尊重し合い、ともに柔道を楽しめる環境づくりに努める必要があります。国際柔道連盟(IJF)は、あらゆる形態の差別を禁止し、多様性を尊重する姿勢を明確に打ち出しています。指導者は、これらの理念を理解し、差別やハラスメントの防止に積極的に取り組む必要があります。具体的には、指導の現場において、差別的な発言や行動をしないことはもちろんのこと、選手同士がお互いを尊重し合えるような雰囲気づくりを心がけることが重要です。柔道修行では、相手と組み合って技を競い合うため、安全確保は最優先事項です。究竟の柔道指導者は、安全に関する知識を習得し、事故予防に最大限配慮した指導を行う必要があります。また、ドーピング防止、暴力根絶など、スポーツ界のコンプライアンスを遵守し、社会の模範となる行動をとることも求められます。近年、スポーツ界では、指導者による暴力やハラスメントが社会問題化しています。柔道界においても、過去に重大な事故や不祥事が発生しており、安全対策とコンプライアンス遵守の徹底が求められています。指導者は、常に安全意識を持ち、最新の安全対策に関する知識を習得する必要があります。発、スポーツ科学の進歩など、指導者が学ぶべきことは多くあります。究竟の柔道指導者は、常に最新の知識や技術を習得し、自己研鑽を続けることで、質の高い指導を提供し続ける必要があります。そのためには、学会や研修会への積極的な参加、指導者同士の情報交換、他競技からの学びなど、さまざまな方法を積極的に活用することが重要です。全柔連は、「指導者養成指針」とともに、柔道指導者が継続的な自己研鑽を通じて質の高い指導を提供し続けることができるように、「指導者養成システム(指導者生涯学習システム)」の構築を目指しています。具体的には、指導者資格制度の見直し、オンライン研修プログラムの開発、指導者向けのセミナーやワークショップの開催など、さまざまな取り組みを推進していく予定です。柔道指導者は、未来の柔道界を担う子どもたちを育成する大きな責任を担っています。指導者養成指針を羅針盤とし、柔道の技術指導だけでなく、人間教育にも力を入れることで、子どもたちの健全な成長をサポートし、柔道界の明るい未来を創造していくことが期待されます。全柔連は、指導者養成指針および指導者養成システムを通じて、指導者の質的向上を支援し、柔道界全体の活性化に貢献していきたいと考えています。革新的パスウェイ特別委員会委員長は、スポーツの生涯を通じた発達段階を考慮し、各段階における適切なトレーニングや競技への参加を促すことで、生涯にわたるスポーツへの関与を目指しています。柔道においても、幼児期から老年期までの各ステージにおける指導内容を明確化し、生涯にわたって柔道を楽しめる環境を整備することで、競技人口の増加と柔道文化の継承に繋げることが重要となります。具体的には、柔道教室や体験会などを開催し、柔道未経験者や子どもたちに柔道の楽しさを伝えるとともに、保護者や地域住民に対して柔道の教育的価値や社会的な意義を積極的にアピールしていくことが重要です。柔道は、礼節、規律、忍耐力、協調性など、社会生活を送る上で必要なさまざまな資質を育むことができます。究竟の柔道指導者は、柔道を通して人間的な成長を促し、社会に貢献できる人材を育成する指導者です。そのためには、個々の選手の個性や能力を把握し、長期的視点に立った指導を行うことが重要となります。勝利至上主義に陥ることなく、選手の自主性、主体性を尊重し、自己実現を支援するコーチングが求められます。選手一人ひとりの目標や夢を理解し、その実現に向けて、技術指導だけでなく、メンタル面のサポートや進路相談など、多岐にわたる支援を行うことが重要です。現代社会において、人権尊重と多様性Development) でMannersNobility (高潔)、Dgnity (品格) の頭文指導者養成委員会副委員長石井孝法i-8 Athlete(LongTerm柔道MINDとは、全柔連が2014年から推進している活動で、嘉納治五郎師範の教えの精神、柔道の心に立ち返ろうとするものです。MINDは、 (礼節)、Independence (自立)、字をとったもので、これらを体現した者が真の柔道家であるとされています。究竟の柔道指導者は、自ら柔道MINDを実践し、選手にもその精神を指導することで、柔道界全体の品位向上に貢献する役割を担います。指導者は、日々の指導のなかで、礼節の重要性を説き、選手が自立心、高潔さ、品格を身につけることができるよう、模範となる行動を示す必要があります。柔道界を取り巻く環境は常に変化しています。ルール改正、新しい指導法の開全日本柔道連盟指導者養成指針解説まいんど vol.43
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