まいんど vol.43 全日本柔道連盟
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⒌運動有能感・自己効力感⒋制御行動画一的な評価の弊害:多様性を見落とす危険性③ 因果志向性理論:これは、人の動機④ 基本的心理欲求理論:これは、自己⑤ 目標内容理論:人が抱く目標には、の目標を見つけることで、より主体的に練習に取り組めるようになります。づけを、3つのタイプに分類する理論です。◦自律的動機づけ:自分の意志で、楽しみや興味を感じて行動する。◦統制的動機づけ:外的報酬や罰、あるいは他人の期待に応えるために行動する。◦無動機づけ:目標や意欲がなく、行動を起こさない。柔道指導においては、選手が自律的動機づけに基づいて行動できるよう、支援していくことが大切です。決定理論の核となる理論で、人が生まれながらに持っている、自律性、有能感、関係性の3つの基本的な欲求を満たすことが、well-長に不可欠だと説いています。「お金持ちになりたい」「有名になりたい」といった外発的な目標と、「健康でいたい」「人の役に立ちたい」といった内発的な目標があります。目標内容理論では、内発的な目標を追求することが、幸福や成長に繋がるとされています。これは、指導者が選手をコントロールしようとする行動のことです。過度な制御行動は、選手の自律性や主体性を阻害し、信頼関係を損なう可能性があります。制御行動には、罰や圧力といった強制的な方法を用いる制御的動機づけ戦略があります。Bartholomewら (2010) は、制御的動機づけ戦略は、短期的には成果を上げるかもしれませんが、長期的にはアスリートの自律性を損ない、心理的ニーズの満足度を低下させ、燃え尽き症候群や抑うつなどのメンタルヘルスの問題に繋がる可能性を指摘しています。一方、自律性支援行動 (Mageau選択肢を提供し、彼らの感情や視点を認める行動です。これによって、アスリートは自己決定感を高め、内発的動機づけや自己決定された外発的動機づけが促進されます。指導者は、選手をコントロールするのではなく、選手が自ら考え、行動できるよう、自律性を支援する行動を心がける必要があります。運動有能感は、自分の身体をうまくコントロールできているという感覚、自己効力感は、特定の課題を達成できるという自信や信念のことです。これらの感覚は、スポーツへの継続的な参加や、パフォーマンス向上に大きく影響しまする能力について、個人が持つ信念、あるいは確信度)と定義し、特性としてのスポーツの自信と状況的なスポーツの自信の2つに分類しています。特性としてのスポーツの自信は、比較的安定した自信のレベルを指し、状況的なスポーツの自信は、特定の状況における自信のレベルを指します。自信を形成する要因として、達成経験、能力の実証、社会的サポートなど、さまざまな情報源を挙げています。これらの要因は、以下の3つの側面から捉えることができます。◦「自分はできるんだ」という自信(遂行能力)◦「努力すれば、練習すればできるようになる」という自信(学習能力)◦「指導者や仲間から受け入れられている」という自信(受容)しかし、勝利至上主義や過度な指導、あるいは相対年齢効果などによって、これらの自信が損なわれると、運動有能感や自己効力感が低下し、スポーツ離れに繋がる可能性があります。これまでの柔道界では、競技成績や技術レベルといった画一的な物差しで選手を評価する傾向が強く、多様な才能や個性を育むことが難しい状況でした。日本の柔道界(スポーツ界全般)では、ある領域で評価された能力が本来は無関係なはずの領域の評価にまで拡張されています。これは一元的(画一的)な評価と同じ機能を果たしてしまうことになります。つまり、その領域で評価されなかった人は本来無関係な領域で低い評価を与えられており、適切に能力が評価されるよう(HarterorVallerandBandura19771997)。beliefcertaintyndvdualspossessabtobesuccessfu信 (ofliniii,;,,&,6       ilitybeing (幸福) や成2002) は、コーチがアスリートに対して1978Vealey (2001) は、スポーツにおける自sport-confidence) を、thedegreeabouttheirspot r(スポーツにおいて成功をおさめVealey (2001) は、スポーツにおける① 認知的評価理論:これは、報酬など② 有機的統合理論:人は、外的動機づています。そして、これらの欲求が満たされると、より意欲的に、そして積極的に行動できるようになります。自己決定理論は、以下の5つのミニ理論から構成されています。の外的要因が、人の内発的動機づけにどう影響するかを説明する理論です。例えば、好きなことでも、報酬のためにやらされていると感じると、やる気が減ってしまうことがあり、これは、外的報酬によって、自律性を感じにくくなるために起こる現象です。けを、自分の価値観や目標に統合していくことで、より自律的に行動できるようになります。この統合のプロセスを説明するのが、有機的統合理論です。例えば、最初は親に言われて始めた柔道でも、段々と「強くなりたい」「礼節を身につけたい」といった自分自身まいんど vol.43

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