まいんど vol.43 全日本柔道連盟
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⑤ 結膜下出血 ⑥ 視力低下② 鼻骨骨折③ 眼瞼裂創④ 眼窩低骨折(吹きます。変形があれば、レントゲン検査にて骨性部分の損傷か、軟骨部分の損傷であるかも確認します。正しく診断を行うにはCT検査が望まれます。また軟骨部分の損傷では、レントゲン検査で判別できません。治療は形成外科や耳鼻咽喉科で行います。受傷直後であれば局所麻酔で骨折部分を器具で持ち上げて整復します。早ければ早いほど整復が容易ですが、1か月以上経過してしまうと、整復は難しくなるため、骨切り術で骨組みを作り直すことが必要な場合があります。眼瞼裂傷(創)は眼窩骨折を伴うことも多いため、X線検査やCT検査を行うこともあります。浅い裂傷なら消毒・圧迫止血後にテープ固定するのみで処置可能ですが、瞼縁に裂傷がある場合には、瞼縁の段差や陥凹が生じないように、縫合をする必要があります(図4)。抜け骨折)眼窩の径よりも大きいサイズの物体が眼窩に外力を加えると、眼窩の内容物が圧縮され、内圧の急な上昇から薄い内壁や下壁の骨折をきたします(図5)。なかでも下壁の骨折が最も多く、眼窩底骨折と呼ばれます。鈍的な外力を受けた際に、眼窩という眼球や筋肉などの軟部組織が入った空間の圧力が上昇し、眼窩の内容物(下方では下直筋)が外(副鼻腔)に出てしま昇で起こると言われています。柔道では、絞め技をかけられた時に起こることがあります。結膜下出血は憂慮すべきように見えるかもしれませんが、それは通常、2週間程度で消失し後遺障害も残りません。多くの人が普段からコンタクトレンズやメガネを使用していますが、度数が合わないものを使用していると、視力低下の原因となる場合があります。度数の合ったメガネやコンタクトレンズを使用するため、定期的に視力検査をするように心がけましょう。なかには、視力低下の原因として、目の病気が潜んでいる可能性があります。とくに注意してほしいのが、スマートフォンを目の近くで長時間見続けることで、目の調節機能が過度に働き、ピントを合わせる筋肉が疲労します。これが続くと、遠くを見る際にピントが合いにくくなる場合があります。スマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、目に負担をかけ、視力低下や眼精疲労を引き起こす原因となります。これが「VDT(Visual)症候群」とも呼ばれる状態です。内頚動脈系両方の枝が分布し、血管が集中しています。キーゼルバッハ部位からの出血は、外からの刺激を受けやすく好発部位であり、鼻出血の7〜8割を占めると言われています。鼻血を止める時は、キーゼルバッハ部位i           の解剖学的な位置を考慮し、出血側の鼻翼を鼻中隔の前下方に向かって押し付けると良いと言われています。圧迫時には、頭を前方へ傾け、直接鼻翼を指で挟んで5〜10分圧迫したり、冷却したり、鼻前庭部に市販の筒状の綿球を詰めることも有効です。凝血塊があると違和感があり、鼻をかんでしまいますが、鼻をかむと再度出血するのでできるだけかまないようにしましょう。鼻出血や鞍鼻(凹んでいる鼻:図2)、斜鼻(鼻梁:鼻筋が左右どちらかへの偏位:図3)があれば診断は容易ですが、時間が経つと腫れのためよくわからなくなりTermnalsDisplayうため吹き抜け骨折と呼ばれることもあります。眼窩底骨折では、上を向いた時に増強する複視、眼球上転障害(ものが二重に見える)、眼球が眼窩の中に落ち込む、などの症状を呈します(図6)眼窩底骨折では同時に合併する可能性のある骨折の状況、神経症状、保存的治療による経過などを総合的に判断し、手術療法の可否や方法を決定されます。著明な眼球陥凹、複視の存在、骨折部に筋肉が挟まっている場合、範囲が広い骨折の場合は手術適応となります。外科的治療を行わなくても自然に治癒する場合もありますので専門医の診断を受けるようにしてください。結膜下出血(図7)は、眼球の透明な表面(結膜)のすぐ下で小さな血管が壊れた時に発生します。結膜下出血は、外傷がなくても発生することがよくあります。強いくしゃみや咳といった一過性の静脈圧の上図3 斜鼻33まいんど vol.43図2 鞍鼻図5 眼の鈍的外傷(眼窩低骨折)図6 上方注視障害(上を見た時の   障害。目の動きに左右差が   生じ、ものが二重に見える)図7 結膜下出血図3斜鼻図4 眼周囲の裂創図4眼周囲の裂創(瞼縁にかかる裂創は縫合が必要)   (瞼縁にかかる裂創は縫合が必要)図6上方注視障害(上を見た時に障害を目の動きに左右差が生じものが2重に見える)図7結膜下出血図2鞍鼻

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