定期戦の特徴・意義甲南常勝の時代りとユニークな試合が展開されている。そのようななか、2015年(平成27年)に総合定期戦60周年(柔道定期戦61回)を迎えるにあたり記念大会、記念祝賀会(神戸市内のホテル)を開催した。この会には、第1回定期戦に出場された嘉納行光・講道館名誉館長にもご臨席いただき、当時の様子を懐かしく話されていたことが印象深い。なお、2025年(令和7年)には柔道定期戦70周年を迎える。学習院の当番にて記念大会、記念祝賀会が計画されている。この定期戦の特徴は、熱い戦いの後の学生同士の交流にある。まず、定期戦でそれぞれが相手校を訪れた際には、同学年の部員宅に宿泊し、翌日はその地域の名所を案内する等の趣向をこらすのである。これにより部員間の親睦も深まり、卒業後も交流する場面も見られる。当時のこの経験が後に社会人として仕事や対人作法に大いに役立ったと話す卒業生も多い。残念ながら近年は社会事情の変化もあり、これらの特徴も薄れかけているが、互いに楽しみ、そして学びあう良い機会となっている。嘉納治五郎師範が、雑誌「柔道」第2巻5号(大正5年)に「対抗戦について」と書かれた文章の中に「対抗戦の学生に有益なる諸点」として6項目が述べられている。その一つに「他校に行くとき、また自校に迎えるときにさまざまな苦心、尽力、配慮をするが、これらが社会に出たら必要な心掛けの一端を在学中に学ぶことができる。」という旨のことが書かれている。まさに、学習院・甲南の定期戦は、柔道の勝敗のみならず、学生として将来社会に出るにあたって大切なことを学ぶ、非常に意義深い定期戦である。この歴史と伝統に輝く定期戦が未来永劫に開催され、両大学柔道部、両学生諸君の益々の親睦が深まることを祈念し筆を置きたい。後半、点差は開くが50年代に入り甲南は厳しい戦いを強いられる。1975年(同勝利となり、周年誌りに甲南大が遠征してきたが、昔日の強さはなく、かなり弱くなっており、本院と好勝負となったが、敗退し15連敗となる。』翌1976年(同51年)も3対3の内容勝ち。ついに1979年(同54年)は引き分けとなり、連勝記録はストップした。その後も数年は伯仲した試合が展開されたが甲南は何とか連勝を続けた。1985年(昭和60年)に入り、甲南は山崎俊輔監督の熱血指導の下、優秀な選手が入部し、また、1992年(平成4年)度から大学の入試制度の改革により「スポーツ能力に優れた者の推薦入学」が始まり柔道部の強化が進む。そして、優秀選手を入学させることができるようになった甲南と、そのような制度のない学習院との実力差はかなり開きができた。1985年(昭和60年)以降はほぼ甲南の完勝である。試合方法も7人戦から5人戦に変更し3年後には7人戦に戻したが、学習院の部員数不足もあり実力の差はいかんともしがたい状況である。柔道定期戦の通算成績は、甲南の63勝3敗1分(コロナ禍による2度の中止を含む)である。一方、親睦戦では留学生や女子選手が出場して男女混合団体戦を行ったり、東京パラリンピックで7位と活躍した永井崇匡選手が学習院大学生時代に出場した」「学習院大学柔道部120にはこう記載がある。『2年ぶ▲令和6年度(2024年)定期戦での合同稽古の様子▲令和6年度柔道定期戦集合写真(於:学習院大学)今年70周年を迎える定期戦50年)の第21回定期戦では1対0の僅差
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