2028年ロスオリンピックに向けて強化新体制スタート!金野 山田 金野 本当に私で大丈夫なのか?一度はお断りしようと考えた金野 山田 金野 金野 山田 8――強化委員長がこの度、金野先生から山田先生に引き継がれたわけですけれども、まずはお二人の今のお気持ちを。山田先生には東京オリンピックまで副委員長として支えていただいていましたので、今回、山田先生が委員長になるのであれば、私以上にやっていただけることは間違いないと確信しております。私のほうは、このお話をもらった時から、本当に私で大丈夫なのかという思いが強くて、一度はお断りしようとも思いました。自分自身がどれほどの者かというのは自分が一番わかっていますし、実績も実力もない自分が…と、それが率直な思いでした。ただそういうお話をいただきながら、自分の都合だけを優先していいものかという思いもありました。オールジャパンで、みんなで力を合わせて頑張りましょうという言葉もいただいたので、力不足の部分は、みなさまの力をお借りしながらではありますが、引き受けさせていただきました。――金野先生のお話にもありましたが、リオから東京オリンピックまでの5年間、お二人は強化委員長、強化副委員長という立場で、柔道界を引っ張ってこられたということで、その当時からお話する機会もかなりあったわけですね。そうですね。東京オリンピックまでは、渡辺涼子、中村兼三の両副委員長も含めて、井上康生監督、増地克之監督らとミーティングばかりしていた思いがあります。特にコロナ禍に入ったこともあり、本当に迷いながらミーティングを重ね、いろいろなことを話しました。みなさんが力強いチームワークを発揮してくれて、なんとかコロナ禍を乗り切ろうという思いでやっていました。――コロナ禍により本当に難しい判断を迫られることも多かったと思います。年間計画ができないどころか、1週間後をどうしようという話ばかりでした。海外に行くことに関しても、世の中からのバッシングもありました。こんななかで行ってもいいのだろうかと。私たちもわからないですし、正しい答えなんてないわけです。だから、とにかく数日後のことだけを決めていこうという感じでした。前例がないことでしたし本当に大変でした。私も東京オリンピック組織委員会のスポーツマネージャーをやっていましたので、選手がこれだけの思いをしているのだから、なんとかオリンピックがなくなることだけは阻止したいと、私の力だけでなんとかできることではないのですが、選手の思いを知るからこそ、しっかりと準備しなければと思いながらやっていました。あの時期、本当にたくさん会議をやりました。会議の形態も、人が集まらずにできるWEB会議に変わりましたしね。しかし、どれだけやっても「大会が開催できなくなるかもしれない」という思いが常にありました。――1年遅れたとはいえ、東京オリンピックが行われて本当によかったですよね。できてよかったとつくづく思います。――批判的な意見もありましたか?ありましたね。「こんな時にオリンピックなんてやるな」という声もありましたし、組織委員会の入っていたビルには毎週のようにデモがきましたし、警備のために警察も来て、私たちは悪いことをしてい パリオリンピックが終わり、強化委員会の新しい人事が発表され、2028年ロサンゼルスオリンピックに向けた新体制がスタートしました。今号では、新しく就任した山田利彦強化委員長と金野潤前強化委員長の対談、そして、鈴木桂治男子監督、塚田真希女子監督のショートインタビューを掲載いたします。まいんど vol.42委員長対談山田利彦×金野 潤新旧強化
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