まいんど vol.42 全日本柔道連盟
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試合での留意点や検査について全柔連医科学委員会の感染症対策における研究の取り組みその他の感染症に関する注意点D-19D-19I D-19D-19 i I   II  I II IID-19D-19参加者・指導者の健康記録表の徹底と練習上の注意点・道場の消毒管理などについても示しました。ガイドラインは新しい知見が発表されるに従って改定を重ね、最終的に第7版まで改定をしています。試合上の留意点として、主催者・選手・サポートスタッフ・審判、さらに観客の応援声援などの行動にまで言及し、健康記録表や他スポーツ団体の動向などの付録を盛り込みました。毎年流行期に行われるインフルエンザの検査は迅速抗原定性検査(一般的に抗原検査)で、ウイルスの増殖に伴う抗原に反応して陽性か陰性を判断する検査です。今でこそ、COV的になりましたが、COVは、抗原検査の試薬の販売量も限られ、また感度も低いこともあって普及しませんでした。早期発見・隔離により感染拡大を阻止するために、検査機器購入時の国からの補助も追い風となり、日本全国の医療施設で感度の高い核酸増幅検査(いわゆるPCR検査)が普及しました。2020年10月の講道館杯で三上先生を主軸に大会感染対策マネージャーを設置して、選手全員にPCR検査を行うこととし、大会関係者すべてに大会2週間前から検温を実施し、症状の有無を記録した健康調査表の提出を義務付けました。試合場での密を回避する導線の設定、試合場に上がる前の手足の消毒、畳の消毒など、万全の体制を敷くことでコロナ渦での大会を再開しました。このような感染症に対する考え方は、今となっては過剰にも思えますが、COVの検査も抗原検査が一般の流行初期が5類感染症となった今でも、感染症に対する基本的な対処法であり理解していただきたいと思います。後述しますが、大会前に行っていたPCR検査は、全柔連主催大会で得られたデータをもとに、検査対象を出場全選手から感染のリスクのある選手のみへと徐々に限定していきました(図1)。現在では、健康調査も検査も行いません。しかし、今後COVが確定していない感染症が再度流行したときには、感染対策マネージャーを置くことや、入場時の検温や健康記録表提出について検討する必要があります。医科学委員会は、今後も医学の専門的立場から、安心・安全に柔道ができるよう貢献したいと考えております。のような対策など医科学委員会では、COV策に取り組む一方で、大会でデータを集めたほか、柔道における飛沫飛散について研究し、論文にまとめて発表しています。2022、2024年にSakuyamaは全柔連のCOV論文を発表しています。論文の内容は、2020年10月から2023年3月までの3672人の選手にPCR検査を実施したところ、陽性者はわずかに29人(0・79%)であり、大会に関連したクラスター(集団感染)発生は認められませんでした。柔道に関わるみなさまが前述のガイドラインを遵守し、健康調査表をしっかり記録していただいたことで、感染拡大を防ぐことができたと発表しています。3)このようなデータを基に、2022年5月からは、感染リスクのあるチーム(所属)にのみ検査を行い、陰性の場合のみ出場できるという新たなガイドラインの下で大会を運営しました。結果として、どの大会でもクラスターは発生しませんでした。大会後の最初の1週間のCOVあるチームのみを検査した場合で20人(0・60%)、すべての競技者を検査した場合でも21人(0・57%)であり、有意な差は認められませんでした。これで、感染リスクのあるチームを特定できれば、選手全員のPCR検査が必須ではなくなり、大会を安全に開催できる可能性があることを発表しています。2) 3)D-19感染症対策について2本のMuraが発表した柔道の練習での感水紙D-19感染症対D-19の感染率は、リスクのを用いた飛沫飛散に関する研究論文では、マスク着用の有無、掛け声の有無、練習内容、組み合う相手の違いでの飛沫量の変化について検討を行いました。柔道の練習での飛沫飛散量は、5分間の会話や朗読より少なく、さらに相手の顔に飛散する飛沫量は、自分から発する飛沫量と比較し少ないことがわかりました。感染予防策を徹底することで柔道の練習はCOVスクを上昇させない可能性が示唆されました。また、柔道の練習でのマスク着用は飛沫飛散量を減少させることを明らかにし、感染流行時には練習メニューに応じて練習中にマスクの適宜着用が推奨されることを発表しました。4)現在もCOVの感染リは発生頻度が少なくな32まいんど vol.4216大会で、6980人出場者に対し、図2図1

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