まいんど vol.42 全日本柔道連盟
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メディカル編ゼミナールこのコーナーでは選手、指導者を対象に、それぞれのスキルアップに役立つ話題(コンディショニング、トレーニング、栄養、心理、メディカル、コーチングなど)を紹介します。柔道JUDO新型コロナウイルス感染症の推移柔道での新型コロナ感染症対策の経緯と流行性感染症への対策19D-19 II III I I  IID-19D-19D- D-19D-19COV新型コロナウイルス感染症は、2019年12月31日に中国で原因不明の肺炎の集団発生が報告され、翌年1月5日にWHOのホームページにその状況が掲載されました。2月11日に正式名称をCOVれた新たな感染症は世界的に拡大し、日本でも同年1月15日に第一例目の感染者が報告されました。初期のCOV2020年2月の段階では8・5%で、インフルエンザの致死率の80倍以上であったことから、当時はいかに危険な感染症であったかがうかがえます。この頃はCOVに対する治療法は確立しておらず、感染拡大の原因が密閉・密集・密接であることから、日本のみならず世界で三密の回避が感染拡大対策として徹底されました。い経過中に徐々に低下しており、インフルと定めらは致死率が高く、の致死率は発生後から5年近エンザの致死率に近づいています。致死率低下の原因として、ワクチン接種の拡がりや治療の効果、感染による免疫獲得、ウイルス自体の弱毒化などの複合的効果が推測されています。1)わが国の感染症法では、COV初は指定感染症、1年後の2021年には新型インフルエンザ等感染症に分類され、対応として2類感染症相当となりました。2類感染症とは、結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)・鳥インフルエンザなど、危険性が高く、発見された場合、入院による治療保護処置や消毒を要する措置ができると定められた感染症です。COV染症拡大は、流行を繰り返しながら徐々に勢いを減じ、2023年5月に5類感染症へと移行されました。図にあるとおり、インフルエンザと同じ扱いとなり、2類感染症で定められていた入院措置による治療や隔離は不要となりましたが、感染者の発生D-19は当D-19感状況を国が把握し、注意・喚起を促すこととなっています(表1)。柔道はコンタクトスポーツであり、密を避けて行うことは不可能です。COVが流行し始めるとほぼ同時に、全柔連医科学委員会では三上靖夫先生(現委員長)を感染対策委員に任命し、感染症の専門家である藤田直久先生(京都府保健環境研究所所長)を特別委員として招き、いち早く対策に乗り出しました。2020年4月には柔道における「感染防御の対応の警告」として注意喚起を行って各方面へ練習・試合自粛対応を通知し、2020年5月の初回の緊急事態宣言が解除される前に柔道における「練習再開ガイドライン初版」を公開しました。このガイドラインではCOVての解説と一般的な対策を記した上で、感染拡大の状況に応じた段階的練習計画を提唱しました。練習中止後の復帰のための段階的練習計画や、特にマスクの着用・練習につい2020年より猛威を振るった新型コロナウイルス感染症に対し、全柔連医科学委員会が進めた対策を振り返り、今後も流行するであろう感染症への対策について解説します。全柔連で進めてきたCOVD-19対策表1 感染症に対する主な措置等国立感染症研修所https://www.niid.go.jp/niid/images/cepr/kenshu/230428_kikikenshu1_1.pdfより抜粋解説:柵山尚紀全日本柔道連盟医科学委員会 委員PROFILE全柔連医科学委員会アンチ・ドーピング部会委員。東京大学医科学研究所附属病院外科助教。専門は消化器外科。東京慈恵会医科大学→順天堂大学大学院卒業。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。医学博士。柔道四段、相撲三段、ブラジリアン柔術茶帯31まいんど vol.42指導者のスキルアップのための

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