まいんど vol.42 全日本柔道連盟
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決断は自分がし、責任は自分がとる。 決めたあとは信じて任せる。() 金野 金野 金野 金野 山田 山田 金野 山田 金野 金野 金野 柔道の魅力と選手の人間性で応援してもらえるチームにるのかなという気持ちにもなりました。て、選手たちもいろいろと言われたようですし、SNSで叩かれたりしました。代表選手の合宿も、選手と付き人2人だけとか、コーチを入れて4人とかの最少人数で個別分散合宿をやったり…。いま思えば懐かしくもありますが、本当に毎日悩んでいました。いろんな意味で鍛えられましたね。――金野先生が強化委員長を引き受けたのは2016年、49歳の時だと思いますが、その時のことを覚えていますか?「何だろう。何かの仕事を振られるんだろうな」とは思ったんですけど、強化委員長というのはまったく予想していなかったので、言われた時は青天の霹靂でした。それで、恩師の髙木長之助先生に相談したら、「日本のために受けるべきだ」と。「大学柔道部のことは俺がなんとかするから」と言ってくださったので、それであればと。でも翌年に髙木先生が急逝されて…。その時は本当にどうしようかと思いました。周囲に不安な様子を見せるわけにはいかないので、できるだけ平静を装っていましたが、内心は不安しかなかったです。その時に、副委員長や監督、コーチのみなさんが支えてくれました。やっぱり一人の力では何もできません。チームでやらないと。選手の所属の方たち、全柔連の職員のみなさん、本当にいろいろな方々に助けてもらったのでやってこられたと思います。――金野委員長は、組織のリーダーとして、大切なことはどのようなことだと考えて活海外派遣に関しても批判する人がいはい。山下会長に急に呼び出されて。動されていたのでしょうか。ですけど、決断は自分がする、そして責任は自分がとるということ。この2つだけは決めていました。迷う場面も結構ありましたけど、決める時は決めて、あとはみんなを信じて任せていました。――人事、人選というのがチームづくりでは重要だと思いますが、コーチの人選などはどのようにしているのでしょうか? そのあとに話をして一緒に考えましたが、出身大学や所属などに、ちょっとこれはと感じられるような偏りがない限りは、監督の決めたものでいいと思っていました。り尊重し応援したいと思っていました。もしそこに「?」がつくような人がいたら違ったかもしれませんが、特段今回はありませんでした。男子はほとんどのコーチが継続で変更は最小限。女子は塚田真希監督とよく話しながら決めましたが、基本、塚田監督が考えてこられた方々に依頼しました。――とくに女子に関しては、海外経験を重視した人選になっていますね。はとくに海外経験が豊富な方が多く、とても大事なことだと思います。――金野先生、山田先生も海外経験をお持ちですよね?行かせていただき、やはり海外での経験というのは財産になっています。行ってみると、言葉もですが、価値観の違いをすごく感じて、本当にいろいろなことに気づくことができました。それによって違うものの考え方や物差しができるんですよね。日本基本的には、みんなで一緒にやるん私の時は、基本的には監督に任せて、私も同じで、現場の考えをできる限そうですね。シニアコーチに関して私は、1年だけですけどアメリカにでは当たり前のことが当たり前ではないので、日本の柔道、日本そのものを違った目で見られるようになる。たった1か国、1つの場所に1年間行っただけなので全部わかるわけではないですけど、とはいえ、言葉の通じない場所に住むことは大事だと思いましたね。私がアメリカに行った当時は、日本はまだ上の言うことに下が従う時代でしたが、アメリカの道場では、小さな子どもたちが、コーチたちや私に「ハ~イ!」とか言って手を挙げてくるわけですよ。それで、小さい子に教えてあげると、日本だったら「先生、ありがとうございます!」と言うのが当たり前ですけど、海外では「先生はそう言うけど、僕はこう思う」とか普通に言ってくる。なるほど、これはおもしろいなと。学生にもよく話すんですけど、百聞は一見に如かずなので、実際に行ってみてほしい。実際に行って「ああ、こういうことか」と感じることが大切だと思うんですよね。――山田先生はトルコで指導されたのですよね?はい。行く前は、トルコでは何語をしゃべっているんだろうと、それほど何も知らない状態で行き、言葉も価値観もまったく違うなかで、多くの貴重な経験をさせていただきました。1年間の任期の後、アメリカに場所を移して、英語で話した時に「はぁ?」ってよく聞き返されて、「はぁ? って」と思いましたけど、いま思えば、あの当時の自分の英語だったら、そりゃ「はぁ?」だよなと笑。でも、そういったことすべてがいい経験になりました。本当にそう。できるだけ若い時のほうがいいと思いますね。長い目で見た時に絶対に役立ちますから、ぜひそういう経験をしてほしいと思います。――金野先生は、委員長としてこれはやりたいと思っていたことはありますか?強化委員長として一番に求められるのは成績だとは思っていましたが、成績だけではない何かを見せたいとは思っていました。柔道の魅力や選手たちの人間性、強いだけではなく人としてもすばらしいと、周りの人から応援してもらえるような、監督やコーチも含めて、そういうチームにしたいと思っていました。――応援してもらったり、尊敬されるというのは大切なことですよね。本当に、そう思います。全日本のトップ選手は憧れの対象になるというのもありますが、強いだけではなくて人間性も必要です。そういう意味では、東京オリンピックでもパリオリンピックでも、選手たちが全員、勝っても負けてもしっかりとインタビューに答えてくれていました。負けて10月9日の全柔連理事会後の記者会見で、鈴木桂治・男子監督、塚田真希・女子監督の就任が発表され、両監督が決意を語った9まいんど vol.42新旧強化委員長対談

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