まいんど vol.40 全日本柔道連盟
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る、『あやねちゃん(埼玉彩音)』という着ぐるみが登場し、コミカルに講義します。教材として女子柔道選手に特化した『エチケットガイド』と『セルフケアガイド』を発刊するなど、埼玉県女子柔道振興委員会では女子柔道教育教材の製作にも力を注いでいます。また、今大会では、『長期育成指針』を策定した石井孝法氏に、性差を意識したサポートの重要性について講演していただきました。強調されていたのが、「子どもの頃からの『成功体験』が大切。さまざまな経験から、『運動有能感(努力すればできるようになるという自信)』と『自己効力感(目標を達成するための能力を自らが持っていることを認識すること)』を感じてほしい」ということでした。そして、長期育成指針において女性の役割は極めて重要であり、女性が笑顔で活躍できる社会が、子どもたちに明るい未来をもたらすと話されていたのが、印象的でした。大会終了後、さまざまな立場から感想が寄せられましたので、ご紹介します。小学生で一番多かったのは、「交流会が楽しかった」という声でした。もちろん「他の道場の子と友だちになれて良かった」という声も。監督を務めた大学生たちは、「自分たちの頃はなかったからおもしろい企画だと思う」、「普段とは違う子とやって声かけをし合うのはこちらにとっても良い経験」、「これからも柔道を続けてくれたらうれしい」と監督経験を楽しんでくれた様子でした。保護者からも、「こんなに女子がいるとは思わなかった」、「勝ち負け関係なく何試合もできるのが良い」、「大学生のサポートがあって雰囲気も良い」、「男性が強い社会なので女性が運営するイベントがあるのは良いこと」、「子どもたちが指導者・親離れできる」、「女の子同士で友だちになりやすい環境がうれしい」など、好意的な感想をいただきました。そして優勝したチームの選手は、「今日の試合はとても楽しかった。優勝の要因は、みんなで応援しあって、最後まであきらめなかったこと。来年もこのような大会があったら、絶対に出たい」と笑顔をはじけさせながら答えてくれました。どのチームも、お互いに遠慮していたのか、最初は応援の声も小さかったですが、試合が進むごとに絆が深まり、最後は大きな声で一生懸命に応援したり、負けた悔しさで泣いてしまった子に優しく声をかけたりする姿も、見られました。柔道の女子人口の減少が進むなか、埼玉県でも「女子が1人か2人しかいない」という道場が増えているのが現状です。「勝負よりも思い出や記憶に残る大会を!」をコンセプトに、飽きが来ないよう毎年内容を工夫し、プログラムも少しずつ変えて、より「楽しい柔道」になるよう考えています。女子委員たちの柔道愛がたくさん詰まったこの大会は、参加する選手の笑顔が一番の原動力です。女子柔道に関わる多くの世代が、同じ空間で、同じ時を過ごす。その中から生まれる一体感や魅力を、これからの女子柔道の普及発展のために伝えていきたいと思います。参加者たちからの声さいごに▲生理についての講習も▲楽しみながら体力アップできる『JSPO-ACP @柔道場』は指導者、保護者に好評◀『まいんど』の連載でもお馴染みの石井孝法氏による「性差を意識したサポートの重要性」に関する講演も行われた

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