まいんど vol.39 全日本柔道連盟
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地域の活動団体にとっての「地域移行」平日の夕方に活動できないという問題点高校・大学の受け入れ中学生になって柔道を始める子がいなくなる中学生の柔道振興に向けて 地域の道場、クラブ、少年団等にとっては、好機でもあります。小学生時代に柔道に打ち込んでいても、進学した中学校に柔道部がないために柔道をやめてしまう例が多くありました。地域移行すれば、引き続き柔道を続ける条件が整います。今後、小学校卒業後も発達段階に応じて適切な指導を行えるよう、指導者の資質向上が求められています。一方、大きな問題もあります。中学生にとって、活動の中心となるのは平日の午後4時~6時です。しかし、この時間帯に指導できる人材や場所を確保することは容易ではありません。そこで、高校・大学部活動による中学生の受け入れが各地で進んでいます。中学生が高校・大学の柔道を知ることもでき、中学校を卒業しても柔道を続ける契機にもなります。この取り組みを顧問、監督が個人的に行うのではなく、学柔連や高体連の組織的事業に発展させることが大切です。地域の道場、高校等が受け入れ態勢を整えたとしても、大きな問題が残ります。中学生になって柔道を始める動機の多くは、自分の学校に柔道部があって顔見知りの先生が指導してくれることに起因します。柔道はある意味敷居が高い競技です。中学生にとって身近な学校内に柔道部があるかないかは大問題です。部活動は中学生の健全育成の観点からも推奨されています。国や自治体は、中学校の教師が兼業兼職届を申請して地域クラブ活動の指導者の立場となり、従来の部活動に似た形態で活動することを認めています。現在の柔道部顧問の方々に、継続して部活動に類似した形態で指導を継続することが期待されています。現在も柔道部のある学校が拠点校となり、周囲の学校の生徒が集まる形態もあります。しかし、指導者への謝金、活動維持費、参加する生徒の傷害保険負担等、容易に解決できない問題もあります。指導者が、個人の立場で重い責任を負う可能性もあります。全柔連は、指導者の方々を支援する組織を立ち上げることを検討していきます。解決すべき課題は多くありますが、中学生の柔道振興は柔道界全体の想いです。各方面関係機関全体の力を結集して、部活動地域移行対策に取り組んでいきましょう。(普及振興部長 田中裕之)巻頭特集

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