まいんど vol.39 全日本柔道連盟
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三重県内の中学校で柔道部が設置されているのは32校です。本県は地理的に南北に長く、北は名古屋圏、南は近畿圏、伊賀・名張地区は大阪圏と、地域によってその特色も違います。地域移行についても、それぞれの自治体単位で進めていますが、三重県内共通して言えるのが、柔道を専門とする柔道部顧問が地域移行の中心として活動していることです。各地域に現在設置している中学校柔道部を拠点に、地域移行についても、それぞれの地域の実情に応じながら、柔道を専門とする中学校顧問が地域と連携しながら進めています。8校の学校に柔道部が設置されている四日市市では、休日は合同練習や柔道教室等を計画し、8校の中学校顧問が連携して取り組みを進めています。一方、1自治体に柔道部が1校のみの熊野市では、柔道を専門とする顧問と地域指導者とが連携した取り組みを進めています。現実的な地域移行を考えたとき、また、柔道の普及発展を考えたとき、中学校柔道部顧問の存在は大きいと考えています。私たちは、この考えを大切にしながら、子どもたちにとってプラスになる取り組みにするために、これからも模索を続けていきます。(三重県熊野市立有馬中学校校長/三重県柔道協会副理事長 松田 元)私が代表を務める牟礼柔道スポーツ少年団は、香川県高松市の最東部に位置し、人口約1万7千人の小さな町にある少年柔道チームです。幼児から小学6年生まで54名が所属(約半数は牟礼町外から)しており、指導者は出身者や保護者を中心に柔道経験者が21名います。今から4年前の令和2年2月、地元・牟礼中学校の柔道部顧問が不在になるということで、学校からの依頼で外部指導者になりました。私自身、自営業の経営者ではありますが、仕事の調整などもあり、引き受けるにあたっては相当の覚悟がいるものでした。コロナ禍を経て現在、牟礼中柔道部は新しい取り組みにチャレンジしています。令和5年10月から高松市教育委員会の「中学校部活動の地域移行のモデル事業」に選ばれ、休日の部活動に地域団体である「牟礼柔道スポーツ少年団」から指導者(2名)を派遣しています。モデル事業期間中の休日部活動(大会引率を含む)はすべて外部指導者で行っており、顧問の先生(女性教員で柔道経験なし)が不在でも活動はできます。また平日の部活動についても「部活動指導員」として指導者を派遣し、行政・学校と連携を取りながら生徒へ柔道の指導に当たっています。 「部活動の地域移行」については、生徒をこの制度の中心に置いて考える必要があると感じています。柔道部員にとって、畳のある柔道場と仲間の存在がなければ練習はできませんし、信頼のおける柔道指導者の存在も重要です。中学生という多感な時期だからこそ、周りの大人たちが真剣に生徒たちの将来までを考えた指導をする必要があります。「学校教育現場と完全に切り離す地域移行」ではなく、「行政を含めた地域との関わりを残した地域移行」が求められます。(牟礼柔道スポーツ少年団代表/高松市立牟礼中学校柔道部外部指導者 中村卓史)2三重県中体連〈三重県〉3牟礼柔道スポーツ少年団〈香川県〉▲熊野市で保護者に配布された地域移行リーフレット▲中学顧問と地域指導者が連携して取り組んでいる熊野市▲四日市市で行われた市内中学合同練習の様子▲県中体連が中心となって三重県全域で行う練成会の様子▲行政・学校と連携を取りながら生徒への柔道指導を行う◀中学校部活動の地域移行のモデル事業に選ばれ、休日の部活動に指導者を派遣する牟礼柔道スポーツ少年団5まいんど vol.39   巻頭特集柔道を専門とする中学校柔道部顧問が地域移行の中心として活動地域指導者が積極的に学校と連携

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