まいんど vol.39 全日本柔道連盟
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この度、女子柔道振興委員会の委員長に就任しました、中村美里です。今年1月、当委員会も関わる〝OSAKA女子柔道フェスタ〟に、偶然講師のご依頼を受け参加しました。参加者は幼児から大人まで300人を超え、全員が楽しめる工夫が随所に散りばめられた、壮大で素敵なイベントでした。就任してすぐに女子柔道家たちのパワーを肌で感じられたことは、今後に向けとてもいい経験となりました。委員会発足からこれまで、諸先輩方が力を合わせ育ててこられた活動を継承し、女子柔道の未来が少しでも明るいものになるよう、皆様の力をお借りしながら2年間頑張りたいと思っています。…と、意気込みを書かせていただきましたが、まさか自分が委員長を務めることになるとは想像すらしていませんでした。なぜなら普及・振興に興味を持ち、行動し始めたのが最近のことだからです。今回は、完全競技者思考だった私が、普及・振興について考えるようになった「2つのき          っかけ」について書かせていただきます。私が柔道を始めたのは9歳のとき。体の小さな人が大きな人を投げる様子に衝撃を受け、すぐにのめり込みました。中学の全国大会で優勝すると、初めての強化選手入り。それから約15年間、〝世界で一番強い柔道家〟を目指し、勝利に向かって突き進んでいました。は、筑波大学大学院への入学です。出産」。競技から一定期間離れる必要がある〝妊娠・出産〟と〝競技〟との両立は、女性アスリートにとって重要なテーマの1つですが、日本・フランス・中国…国によって、〝ママアスリート〟を取り巻く環境に大きな違いがありました。また、フランスでは柔道の普及が進んでいて、スポーツの枠組みを超え、教育の一環として根付いていることがわかりました。文化の違いや、制度の良し悪しはあるものの、日本にも生かせるヒントがあるのではと、気づきを得ました。るには、東京都予選でベスト8に入らなければなりません。練習相手は重量級の選手。振り回され、そんな私に変化をもたらした1つ目のきっかけ研究の題材は「柔道トップアスリートの妊娠・2つ目は、皇后盃への挑戦です。本戦に出場す投げられる毎日で、大会となれば1試合で腕が上らなくなる程でした。それでも、絶対不利と言われるなかでの挑戦、柔よく剛を制すの追求、そして本選出場という夢の実現…それらすべてが楽しく、頂点に立つこととはまた違った柔道の魅力を発見することができました。これまで強化に力を入れてきましたが、この2つのきっかけにより、柔道をより盛り上げていくためには、強化と普及、どちらに偏ることなく、両方に力を注ぐことが大切だと気づかされました。そしてもっと多くの人に柔道の魅力を伝えたいという思いが強くなり、今では国内外さまざまな地域を訪れるようになりました。国籍や性別や年齢に関係なく、目を輝かせて楽しんでいる姿が嬉しい一方で、それぞれが環境面で少なからず課題を抱えていることを知り、自分に何かできることはないか、と考える機会が格段に増えました。私は柔道が大好きです。その柔道が誰かの生きがいになったり、人々の繋がりを生んだり、多くの人に愛されることを願い、今後も真摯に向き合っていきたいと思います。 8 12 18 243まいんど vol.39公益財団法人全日本柔道連盟女子柔道振興委員会 委員長中村美里連載普及の広場~柔道を「続けよう」「始めよう」~ 26やわら通信 28やわらたちのセカンドキャリア 31L’Esprit du Judoコラボ企画 32海外「JUDO」ホントのところ 34柔道ゼミナール~メディカル編 36柔道ゼミナール~栄養&レシピ編 38登録係からのお知らせ 40委員会インフォメーション 41FROM事務局 46Contents巻頭特集部活動の地域移行を考える 4連載特集 Vol.03全日本柔道連盟長期育成指針 特集①パリ・オリンピック代表内定選手出揃う! 特集②グランドスラム東京2023世界中から豪華選手が集結し今大会も満員御礼! 14GS東京の舞台裏をクローズアップ! 16REPORT国内外2000名を超える選手が講道館での国際合宿に集結! INFORMATION大会事業委員会&審判委員会からのお知らせ 20全日本選手権&皇后盃のルール変更について 22TOPICS健康増進、安全に楽しく柔道を!『七割柔道クラブ』開設 2024.2 Vol.39柔道の普及・振興を考えるようになった2つのきっかけ

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