小児特有の骨折最後にSalter-Harris Salter-Harris ⃝ 骨膜が厚い(不全骨折・若木骨折)⃝ 成長が盛んでリモデリングを繰り返して⃝ 骨が長くなると、筋肉の長さの成長が追⃝ 骨端線障害を起こしやすい折、離断性骨軟骨炎)。小児では骨密度が低く、6歳時では大人と比べておよそ半分と言われています。いる(骨新生が早い、治癒が早い、矯正されやすい)②成長期であること(骨端(成長)線がある)い付かず相対的な筋の短縮が起こる。身長が伸びると、体がかたくなるのはこのためです。骨端軟骨板は骨の中で最も脆弱な部位であり、せん断負荷に弱い。子どもでは骨と比較して靱帯、腱が強靱なため、骨端軟骨板は骨折の好発部位となります。急性:骨端線骨折(Salter-Harris慢性:骨端症、骨端部裂離・分離(内側型野球肘)1.不全骨折小児の骨は成人に比べて弾性に富むため、不全骨折と呼ばれる偏位の少ない骨折が特徴的である。これには若木骨折、隆起(竹節)骨折、塑性変形などが含まれています。隆起骨折のように皮質のわずかな膨隆を見るためには多方向の撮影が必要です。また、塑性変形では骨皮質は断裂せず、彎曲が生じるだけであり骨折が確認できないことがありますが、自発痛や圧痛を必ず確認する。塑性変形の診断は難しく、軽微な彎曲は健側と比較してもわかりにくいことがあります。彎曲が強いとリモデリングが十分に行われず変形が残ることがあります。2.骨端線損傷また、小児の骨は成長過程にあるため、骨端(成長)線が存在することが特徴です。骨端線は、骨化が未熟な部分であり、強度が靭帯や腱よりも弱いのです。このため関節に捻れの力が働くと、力学的に脆弱な骨端線の損傷が起こります。なお、骨端線損傷は思春期に伴う成長期(成長板が閉鎖する時期)に起こりやすく、上肢よりも下肢に多い。従って、成長板閉鎖前の小児では捻挫(靭帯損傷)よりも骨折が起こりやすいと考え、関節の損傷では常に骨折を合併していると考えて慎重に診断を進めていく分類)必要があります。骨端線損傷は名です。Ⅰ型:10%程度とされる。成長板に一致した骨折(成長板の離開)。大腿骨頭すべり症もⅠ型に分類される。Ⅱ型:75%程度を占め、このタイプが最もの分類が有の分類多い。成長板と骨幹端の一部の骨折。Ⅲ型:10%程度。成長板と骨端核の骨折。若年性チロー骨折がこれに入る。Ⅳ型:7%程度。成長板を通過して骨幹端から骨端核に至る骨折。上腕骨外顆骨折が含まれる。Ⅴ型:成長板の圧潰。単独の骨外傷としては非常に稀であり、受傷時の単純Ⅹ線写真での診断は困難である。成長板の早期閉鎖が起こるため、結果的に成長障害が生じることで診断される。子どもは大人の縮小版ではありません。形態や成長過程であるという特徴をよく理解し、指導にあたっていただきたいと思います。 ▲図3:Salter-Harris の分類▲図2:骨組織の構造
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