Contents巻頭特集受け身のススメ 4連載特集 Vol.02全日本柔道連盟長期育成指針 8特集②Road to Parisパリ・オリンピック、さらに6選手が代表に内定! 14特集③グランドスラム東京2023今年も大会前から大盛り上がり! 16特集④ウクライナの次世代を担う柔道選手団が来日!! 18ウクライナ柔道支援オークション協力御礼レポート第19回アジア競技大会柔道競技 22連載普及の広場~柔道を「続けよう」「始めよう」~ 25道場わっしょい! 27やわらたちのセカンドキャリア 28L’Esprit du Judoコラボ企画 30海外「JUDO」ホントのところ 32柔道ゼミナール~メディカル編 34柔道ゼミナール~栄養&レシピ編 36登録係からの大切なお知らせ 38委員会インフォメーション 41FROM事務局 462023.11 Vol.38 物事の改革には「生みの苦しみ」が多々あります。全日本柔道連盟公認指導者資格制度は歴代会長の思いと指導力のもとに平成25年に開始されてから紆余曲折の末10年が経ちました。 今でこそ指導者資格は定着していますが開始当時は多くの否定的な意見がありました。例えば「俺に誰が技の説明をするんだ!」と凄まれた競技者、「俺は○段を持っているんだぞ」と言われる先生、反対に「柔道家はもっと勉強しなくてはいけない」と言われた柔道愛好者の方々がいました。何故、指導者資格は必要なのか? フランスのサッカーWカップ元監督ロジェ・ルメールの言葉に「我々は学ぶことをやめたときに、教えることをやめなければならない」というのがあります。また嘉納治五郎師範は「教育之事天下莫偉焉 一人徳教広加万人 一世化育遠及百世」、そして柔道の教師に対して「柔道の教師は、柔道の教えを己の行いに実現するを要す」のお言葉を残しています。時代、指導対象者、価値観の変化する現代で人に教えることは任意(ボランティア)であっても指導者の質と責任が問われます。それを保証し学びの一助とするのが指導者資格です。 指導者養成委員会は柔道を取り巻く環境の急激な変化、特に中学校武道必修化対応、指導者の養成、安全の確保について喫緊の課題として対応する必要があったため、通常の専門委員会とは別に、組織の基をなすのは人であるという認識から、より良き指導者の確保と質の向上を図ることを目的に平成20年に「指導者養成プロジェクト特別委員会」としてスタートしました。 当初は講習会を実践しながら、指導者の資質向上のための具体的なシステム構築についての論議を深め、また、指導者の資質向上に資する書籍を発刊等のさまざまな活動を経て日本の柔道の将来を見据え、いろいろな観点から指導者養成システムの構築について検討を重ねてきました。委員には柔道関係者以外にJSC、JSPO(旧日本体育協会)、そして他競技の方々にも加わっていただき、日本一のモダンな資格制度にしようと検討を重ねました。従来、国内で指導者資格を認定していたのはJSPOのみでした。連盟独自の指導者資格認定制度の導入は、全柔連はかなり早かったと思います。取り組みとしては、青少年指導からトップ選手指導の現状を認識し、共通の理解のもとで新しい指導システムの構築への手掛かりを求め、全国の指導者の参加による「柔道フォーラム」を開催。さらに、「少年柔道指導者」「強化柔道指導者」「女性指導者」の3分野をモデルにおいて重点的に取り組み、専門チームを立ち上げて活動、検討を行ってきました。 柔道は決して単なる技の競技ではありません。それは心の競技でもあり、自己向上への旅でもあります。私たちは柔道家として、柔軟性、粘り強さ、自己制御、そして精神的な成長を追求します。そして、その過程で得るものは、柔道MINDの真髄です。 柔道の指導者資格は、柔道を指導するための資格や資質を持つことを認定する資格です。これらの資格は柔道の指導者として活動し、他の人々に柔道の技術や価値観を伝えるために必要なスキルや知識を示すものです。指導者資格の意味と意義は安全な指導、指導者の信頼性、選手の育成、柔道の普及、柔道の価値の伝承、多様性の理解等の知識と実践を獲得することだと思います。そのために、現状に即した内容に随時改革をしていく所存です。 みなさんと一緒に柔道精神に基づく価値観を伝える役割を果たし、柔道コミュニティ全体に貢献していきたいと思います。公益財団法人全日本柔道連盟指導者養成委員会 委員長木村昌彦指導者養成委員会の取り組み3まいんど vol.38
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