栄養&レシピ編ゼミナール柔道JUDOこのコーナーでは選手、指導者を対象に、それぞれのスキルアップに役立つ話題(コンディショニング、トレーニング、栄養、心理、メディカル、コーチングなど)を紹介します。指導者のスキルアップのための上村香久子うえむら かくこ管理栄養士/調理師。全日本柔道連盟強化委員会科学研究部員、JOC強化スタッフ(情報・戦略、医・科学スタッフ)。12年ロンドン五輪では柔道女子、16年リオデジャネイロ五輪から柔道男女の栄養サポートを行うPROFILEバテやすかったり、筋肉量が増えてこないというときは、エネルギーやたんぱく質の不足が考えられます。今回は、そんなときに効果のある「補食」について、とり方、とるもの、レシピなどを紹介します。補食をとるタイミングについてエネルギー足りていますか?稽古中、バテる、集中力低下を感じるときは、エネルギー不足の状態になっていると考えられます。毎食、ごはんやめん類、パンなど、食べていますか? 体重が増えるからと、ごはんを減らし過ぎていませんか? エネルギー源となる炭水化物の補給量が少ないと、エネルギー切れが起こりやすくなります。これから解説する図表には、炭水化物が「糖質」と書かれています。炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせた名称です。糖質がエネルギー源となり、食物繊維はヒトの消化酵素では消化できず、エネルギーになりません。現在は、炭水化物と表記されることが多いです。図1は、糖質の補給量と筋グリコーゲン濃度の変化を表しています。私たちは、エネルギー源を筋グリコーゲンという形で体にたくわえています。図1の研究は、高糖質、低糖質グループに分けて運動を行い、筋グリコーゲン濃度の変化をみています(研究では食事に占める糖質のエネルギーの割合が70%を高糖質、40%を低糖質にしています)。運動を行うと、両グループとも筋グリコーゲンは減ります。そのあと、糖質を補給すると、高糖質グループは、翌日にもとの濃度近くまで回復できていますが、低糖質グループは回復できていません。図表のとおり、日が経つにつれて、低糖質グループは、筋グリコーゲンの濃度が低下しています。この状態が続くと、稽古中にバテる、疲れがとれないと感じます。一般的に日本で食べる食事の糖質の割合は、50バテやすい、筋肉量が増えてこないと感じている選手は、エネルギー、たんぱく質不足が考えられます。食事量を増やせられないときは、補食を計画的にとり入れましょう。A稽古中、バテやすいし、筋肉も思っているほど増えません。また疲れが残りやすいのはエネルギー不足ですか? 食が細いので、食事量を増やせません。QCostill, DL, JM Miller. Nutrition for endurance sport : carbohydrate and uid balance. Int J Sports Med . 1: 2-14. 1980.図1糖質の補給量と筋グリコーゲン濃度の変化36まいんど vol.37
元のページ ../index.html#37