原因には結びつきませんでした。たくさんの方から期待されていたブランディング委員会ですが、ほぼ0からのスタートとなり、外から見れば活動をしていないように見えたかもしれません(そのような声をたくさん聞きました)。その背景には、このようなことがあったこともご理解いただきたいと思います。ここまでが、簡単ではありますが、長期育成指針が作成されるきっかけです。それでは、なぜ「明確なコンセプト」が「長期育成指針」になるのかということになります。それは、柔道界やスポーツ界、強いて言えば社会が直面する問題とその原因が関係しています。この部分の説明に時間を要するため、何度かに分けて説明しなければなりませんが、まずはみなさんと一緒に柔道人口の増減について見ていきたいと思います。日本における柔道離れは 昔から問題視されてきましたが… それでは、戦後の柔道人口の増減(以下、柔道人口指標)を見てみます(図1)。先に、「柔道人口の正確な数値はわかりません」ということをお伝えして、この図の説明をします。ここで示しているものは仮想の柔道人口であり、日本の人口で補正した指標になります。簡単に言うと、日本の人口の増減の影響を取り除いた数値になります。 なぜ正確な数値がわからないのかと言うと、柔道人口を数える場合に柔道家もしくは柔道競技者をどのように定義するかで大きく異なってしまうからです。たとえば、初段をとってそれ以降ずっと柔道の稽古を実践していない人を柔道家とするのか、年に1回だけ稽古している人を柔道家とするのか、週5回以上稽古をしている人を柔道家とするのか、稽古はしていないが審判だけやっている人を柔道家とするのか、などです。 定義をしてしまえば線引きすることはできますが、その線引きが適切であるかは目的によって変わると思います。ここでは、「柔道離れ」としていますので、柔道に関わる人も含めて増減を把握できればよいということが目的になります。全柔連の登録者数だけで語ればいいじゃないかと思うかもしれませんが、情報量が少なく、歴史的な文脈を把握することが難しくなり、大切なものを見逃す可能性があります。できる限り、多くの情報(文献など)から原因のもっともらしさを求めていきたいと思います。図2講道館の入門者数と全柔連の登録者数の相関図1柔道人口指標(左目盛)(右目盛)10まいんど vol.37
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