日本体育協会(1999)「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」表1 運動強度と水分補給の目安運動強度水分摂取量の目安運動の種類運動強度(最大強度の%)持続時間競技前競技中トラック競技バスケットサッカー など75~100%1時間以内250~500ml500~1000mlマラソン野球 など50~90%1~3時間250~500ml500~1000ml/1時間ウルトラマラソントライアスロンなど50~70%3時間以上250~500ml500~1000ml/1時間必ず塩分も補給栄養&レシピ編寝ている間に失われている水分。それにより無意識のうちに、水分量が足りていない、脱水状態になっていることがあることをご存じでしょうか? 練習前の段階で脱水状態になっている場合、練習中に水分補給をしてもその状態は解消されません。「朝起きたときから水分補給は始まっている」ということを意識しておいてください。「水分補給について」上村香久子うえむら かくこ管理栄養士/調理師。全日本柔道連盟強化委員会科学研究部員、JOC強化スタッフ(情報・戦略、医・科学スタッフ)。12年ロンドン五輪では柔道女子、16年リオデジャネイロ五輪から柔道男女の栄養サポートを行うPROFILE起床後から水分補給は始まっている暑い季節になると、「練習中、水分をこまめに補給しているのに、体がつります。これ以上飲むと、お腹がタポタポで気持ち悪くなります。どうしたらいいですか?」という相談が増えます。私は選手に、「朝起きてから、練習始まる前までにどのくらい水分をとっていますか?」と、質問すると選手から「食事でお茶をコップ1杯飲んでいる。食事以外では飲んでいない」と答えます。柔道選手からよく聞く回答です。柔道あるあるかも知れませんが、大学生、社会人柔道選手は、減量中に感じるのどの渇きなどの乾燥に慣れていて、普段の水分補給量が少ないように私は感じます。暑い季節では、起床時にコップ1杯~2杯分の水分(汗)を失っていると考えられています。つまり起床時は、少し脱水しているのです。食事をとったあとも、授業や仕事の合間に水分をとらないと、体水分が回復しません。結果、練習前から少し脱水している状態で始めることになります。この状態で、練習中に水分を補給しても体水分の回復が追いつかず、脱水状態を解消できず、体がつったり、しびれたりします。(表1)の通り、練習中の水分補給は目安量が示され、練習中の水分補給はうまくできるようになっています。しかし、練習中に水分をとれていても体がつるのは、起床後から練習が始まる前までの水分補給量が足りないために、体がつってしまうのではと思います。尿の色で脱水状態を確認する脱水している・していないを確認する一つの方法として尿の色を見ることです。起床後の尿は、濃い黄色をしています。睡眠中、汗で水分を失っていますが、水分をとっていないため脱水し、尿の色が濃くなります。食事をとると、水分が体内に吸収され、脱水が解消し、尿の色が薄くなります。つまり、練習前にトイレに行き、尿が濃い色なら脱水しています。先ほど話したとおり、この状態で練習中に水分補給しても、脱水が解消されにくいです。起床後、食事をとり、授業・仕事の練習中、水やスポーツドリンクを飲んでいますが、手足がつったり、しびれたりします。水分補給量が足りないのでしょうか?起床時は、汗によって体水分が失われています。起床後から練習が始まる前までの水分補給量が少ないと、練習前から少し脱水状態になっている可能性が考えられます。起床後に食事をとり、授業や仕事の合間にこまめに水分を補給しましょう。AQ36まいんど vol.36
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