表1推定エネルギー必要量(kcal/ 日)身体活動レベル低い(Ⅰ)ふつう(Ⅱ)高い(Ⅲ)男性女性男性女性男性女性6~7(歳)1350125015501450175016508~9(歳)16001500185017002100190010~11(歳)19501850225021002500235012~14(歳)23002150260024002900270015~17(歳)25002050280023003150255018~29(歳)23001700265020003050230030~49(歳)230017502700205030502350【身体活動レベル】低い(Ⅰ):生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合ふつう(Ⅱ):座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合高い(Ⅲ):移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合日本人の食事摂取基準(2020年版), 厚生労働省表1 推定エネルギー必要量(kcal/日)栄養&レシピ編ケガをしたとき、体重増加に不安を抱く選手は多いのではないでしょうか。でも、体重増加を気にして食事を減らすのはNG! 今回は、少しでも早く治すために、どんな食事をしたらいいのか? そんなお悩みにお答えします。ケガをしたときの食事について上村香久子うえむら かくこ管理栄養士/調理師。全日本柔道連盟強化委員会科学研究部員、JOC強化スタッフ(情報・戦略、医・科学スタッフ)。12年ロンドン五輪では柔道女子、16年リオデジャネイロ五輪から柔道男女の栄養サポートを行うPROFILEケガから回復中の体重調整、食事量選手から「ケガをしました。しばらく運動量が減ります。でも、体重を増やしたくないです。食事量を減らしたほうがいいですか?」といった質問を受けることがあります。私は選手に「食事量を減らしすぎると、ケガの回復に必要な栄養素が足りなくなってしまう。体重は、多少は増えるけれど、練習に復帰したら、増えた体重を落とすことはできるので、心配しないで」と答えています。ケガをしたとき、手術を受けたときは、筋肉などが傷ついていますので、炎症を起こしています。炎症が起こると血流量が増えるため、体水分量が増えます。選手は「むくみ」や「腫れ」として感じることが多いのです。つまり、体水分量増加によって体重は増えます。練習ができない間、食事量を減らし過ぎるとケガの回復に必要な栄養素が足りなくなります。まずはケガを治すことが優先されますので、食事を減らし過ぎないようにしましょう。見方を変えると、体重が増えるということは、食事から補給した栄養素が十分に足りていると考えられます。(表1)は、厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準の1日あたりの推定エネルギー必要量です。身体活動レベルの説明について(表1)では少し難しい文章になっていますが、簡単に言いますと「低い」は、自宅にいてほとんど外出しない日、「ふつう」は、学校に通っているが練習がない日、「高い」は、練習など運動を行っている日、と考えます。ケガをしている時、運動量が減りますので、身体活動レベルは「低い」または、「ふつう」と考えてよいでしょう。ただし、選手によってケガの状況、回復状況は違います。例えば、ベッドに安静のため動けない、リハビリできる、車椅子で移動できる、松葉づえで移動できる、などによっても消費エネルギー量は変わります。体重変動、体調をみながら、体重が大きく増えない範囲で食事量を調整します。食事は、乱取を行う練習のある日に比べて、ごはんやパンなどの主食、肉・魚料理の主菜を減らします。ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富は野菜、きのこ、海そうは減らさないようにしましょう。例えば、身体活動レベル「ふつう」の場合、1食あたりのエネルギー量は、約500~900kcalになります。ごはんの量は、約100練習中にケガをしました。しばらく練習ができないので運動量が減ります。練習ができない間、体重が増えそうで心配です。体重を増やさずにケガを早く治す食事のとり方を教えてください。練習ができない間、体重を増やしたくないからと食事量を減らしすぎると、ケガを治すために必要な栄養素が不足し、回復が遅れるかも知れません。運動量が減少している間は、多少体重は増えるかもしれませんが、ケガの回復が最優先。研究論文では、ケガの回復を助けるかも知れないと期待されている栄養成分があります。今回はこちらをご紹介します。AQ34まいんど vol.35
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