▲Global DRO(The Global Drug Refer ence Online)では禁止物質の確認ができます。公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)ホームページ:https://www.playtruejapan.org/1.採取した尿や血液に禁止物質が存在すること2.禁止物質・禁止方法の使用または使用を企てること3.ドーピング検査を拒否または避けること4.居場所関連情報の義務違反5.ドーピング・コントロールを妨害または妨害しようとすること6.正当な理由なく禁止物質・禁止方法を所持すること7.禁止物質・禁止方法を不正に取り引きし、入手しようとすること8.アスリートに対して禁止物質・禁止方法を使用または使用を企てること9.アンチ・ドーピング規則違反を手伝い、促し、共謀し、関与する、または関与を企てること10.アンチ・ドーピング規則違反に関与していた人とスポーツの場で関係をもつこと11.ドーピングに関する通報者を阻止したり、通報に対して報復すること以上がアンチ・ドーピング規則違反であり、アンチ・ドーピング規則に違反すると、アンチ・ドーピング規則違反が発生した競技大会における成績が取り消されます。そして、違反の内容により、1年~永久の資格停止となります。資格停止となった場合は、その間、試合に出場できないばかりでなく、合宿などの公式行事にも参加できません。禁止薬物について禁止薬物には、常に禁止される薬物と競技会(試合)のときのみ禁止される薬物があります。常に禁止される薬物には、「無承認物質」があり、これは治験薬等、どこの国でも承認されてない薬物のことです。筋肉増強剤で、ペプチドホルモン、成長因子としては造血ホルモンであるエリスロポエチン、成長ホルモンなど蛋白同化薬は常に禁止されています。気管支拡張剤とし喘息の治療に使われるベータ2作用薬は、筋肉増強作用があるために禁止されています。糖尿病の治療に使われるインシュリンも禁止されています。利尿剤は、減量や尿で薬を体から出す等、他の禁止薬物を隠蔽する可能性があるので禁止されています。競技会(試合)のときのみに禁止される薬物には「興奮剤」、「麻薬」、「カンナビノイド」、「糖質コルチコイド」があります。「興奮剤」は市販の風邪薬や漢方薬、サプリメントなどにも入っているものがありますので、特に注意が必要です。「カンナビノイド」は、大麻、マリファナのことです。国内では違法ですが、海外では合法な場合があります。「糖質コルチコイド」は副腎皮質ステロイドのことで、さまざまな疾患に対して広く使用されている薬剤です。右図のように、皮膚に塗ったり、鼻から吸ったりする分には問題ありませんが、注射したり、口から飲んだり、座薬として直腸に入れることは禁止されています。2023年からはこのステロイドの使用について詳細な方法が発表されました。アンチ・ドーピングに対する対策について日本スポーツ協会(JADA)が毎年、アンチ・ドーピング使用可能薬リストを発行しています。ホームページからもダウンロードできますので、薬を使用しなければならない場合は、このリストに載っている薬を使うようにしましょう。Global DRO(The Global Drug Reference Online)という検索サイトがあり、そちらで禁止表国際基準(Prohibited List)に基づいた禁止物質のステータスを確認することができます。日本で販売されている商品名での検索が可能です。右の表の鎮痛解熱剤「ロキソニンS」は競技会、競技会外ともに「禁止されていない」ことがわかります。逆に、右下表のステロイド「テストステロン」は競技会、競技会外ともに「禁止」であることがわかります。禁止物質や禁止方法は毎年1月1日に更新されます。市販されている風邪薬や漢方薬、サプリメントも禁止物質が含まれていることがあり注意が必要です。また、薬に詳しいスポーツファーマシストに相談することもできます。スポーツファーマシストはJADAのサイトから検索できるようになっています。全柔連医科学委員会アンチ・ドーピング部会では、これまでに定期的にアンチ・ドーピングに関する講習会をジュニア・シニア強化選手に行い、ドーピングに対する理解を深めてもらってきました。年初には、ドーピング規定の更新を講義し、選手に注意喚起しています。今後、ドーピングは遺伝子などを含めて、ますます複雑化していくと考えられます。自分がドーピングをしているのか、わからないままに違反に問われてしまう可能性も否定はできません。そうならないように、日頃から情報をチェックしていく必要があります。全柔連医科学委員会アンチ・ドーピング部会では、日々情報を更新し、みなさまに迅速に配信できるように努めてまいります。33まいんど vol.35
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