普及普及のの広場広場〜柔道を「続けよう」「始めよう」〜〜柔道を「続けよう」「始めよう」〜▲寄付していただいた柔道衣を着て授業を行う駒形中の生徒たち。生徒たちは思いやりの気持ちを学んだ▲駒場高の矢澤先生。柔道畳、マット、柔道衣調達の難しさを痛感柔道衣を必要な所へ ︱柔道衣リサイクル︱全国1万余の中学校の約6割で柔道の授業が行われています。しかし、実施される時間は年間10時間未満の学校が多く、内容的にも柔道の楽しさやさまざまな有用性を指導しきれていない状況があります。それに加えて柔道衣を揃えられないという学校もあります。全柔連にも、柔道衣を揃えられないので柔道の授業ができないという悩みが寄せられました。中学校と比較して、高校は授業の柔道を終了すると柔道衣を学校に寄付していく生徒が多く見られます。今回は高校の先生にお願いしてうまく対応できましたが、このような悩みを抱える中学校は他にもあるはずです。今後、柔道衣を揃えたい学校と柔道衣が余っている学校を結びつけ、柔道衣を有効活用できる場を工夫することにも取り組んでいきます。柔道衣を寄付していただいて東京都台東区立駒形中学校村上智恵この4月に、現在勤務している学校に異動となり、そこで本校に柔道衣がないことを知り、柔道の授業をどのように行うかについてずっと考えていました。ここ2、3年は新型コロナ感染症のこともあり、学校にある帯で帯の締め方と体育着で受身を行っていたことを前任の先生から引き継ぎを受けました。学校としても、自営の家庭が多い地域のため、家庭に負担をかけることはできないという校長の意向から、柔道衣を買うという選択はできませんでした。しかし、事情はあったとしても、生徒の学びの機会をなんとか作れないかと考えました。特に3年生にとっては2年間、体育着で受身をとり、帯の結び方を行なって終わりだった柔道の授業。最後の1年は柔道衣を着て、相手に技をかける、相手との攻防を楽しむことができたら、1、2年生で学習してきたことが生き、さらに、柔道というスポーツを深く学ぶことができるのではないかと考えました。柔道衣が不可欠だと感じた私は、全柔連の田中裕之先生に相談をしました。その結果、都立駒場高校、杉並工業高校から柔道衣36着を無償でいただけました。生徒たちは手を叩いて喜び、柔道衣を着て柔道の授業を行うことができました。「思ったより、柔道衣は重い!」「柔道衣を着られてうれしい!」という生徒からの多くの声のなか、「精力善用・自他共栄」の精神を掲げ、固め技4つ、投げ技2つを8時間の柔道授業の中で教えることができました。柔道の学習を通して生徒は「思いやりの気持ち」を一番に学んでいたことが、生徒の書いた感想から伝わってきました。生徒たちがこのような感想が持てたことは、柔道衣の寄付に関わっていただいたみなさんの思いやりの心を生徒たちがしっかりと感じていたからだと思います。本当にありがとうございました。柔道衣を集めてみて東京都立駒場高等学校柔道部顧問 矢澤良之「中学校で柔道の授業を始めたいが、柔道衣がなくて困っている先生がいる」と全柔連の田中先生からご連絡をいただきました。お話をうかがうと、指導者講習会をきっかけに柔道を始め、指導法も学んだ中学校の先生が、武道授業の時間に柔道を取り入れたいが、環境が整わず困っていらっしゃるとのことでした。さっそく、生徒たちに呼び掛けて柔道衣を集めて見ましたが、年度途中と言うこともあり、なかなか集まりません。その後、知り合いの先生方に声を掛けさせていただくと、都立杉並工業高校の柳澤先生から、貸出し用に保管されていた柔道衣数十着をいただけることになり、お渡しすることができました。今回のことから柔道畳・マット・柔道衣調達の困難さを知りました。国外向けにはさまざまな団体の先生方が継続して活動をなさっています。今後は国内向けにも今まで以上に、困っている方々が相談・情報交換をできる場があればとても助かるのではないかと感じています。2022年度新規登録者 優良校表彰優秀指導者表彰は、2018年度より、中学生・高校生の柔道未経験者登録拡大を図るため、新規全柔連登録者を多く輩出した学校を表彰しております。2022年度は、中学生6520名、高校生は2806名の新規登録がありました。そのうち特に登録者人数と登録者率が高かった中学校・高校それぞれ上位10校を表彰いたします。表彰された学校のほか、新型コロナウイルス感染症の影響もあるなか、柔道の普及・振興にご尽力いただいている指導者のみなさまには心より感謝申し上げます。今後とも柔道競技者・愛好家の拡大に向け、本連盟26まいんど vol.35
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