表1 選手が日本から持参する食品例◦アルファ米(水やお湯を入れて作るレトルトごはん)◦レトルトおかゆ◦レトルト牛丼、カレー、中華丼、そうざい (筑前煮、ひじき煮など)◦缶詰(やきとり、魚のみそ煮など)◦インスタント汁物◦ようかん、カステラ◦ドレッシング、しょうゆ大会公式ホテルの食事海外では、日本と同じ白ごはん(短粒種)の提供がないことが多いです。しかし、今回はほぼ毎日提供がありました。しかし、ごはんに塩味がついていたり、コーンが混ざっていたりしました。パンは複数種類あり、どれもおいしかったです。ウズベキスタンは、宗教上の理由で豚肉を食べない人が多いです。このため、レストランではメイン料理に豚肉の提供はありませんでした。豚肉はエネルギー代謝に関わるビタミンB群が多いです。この情報は日本で事前に入手していましたので、選手に伝え、必要に応じてサプリメントのマルチビタミン&ミネラルを用意し、ビタミンB群を補給するようにアドバイスしました。メイン料理は、鶏肉、牛肉、羊肉、魚料理が提供されました。塩味や黒コショウなどのスパイスのきいた料理が多かったです。全体的には、日本人の好みに合う味付けが多く、ほとんどの選手はレストランの食事を利用しました。写真①~④はホテルレストランの食事です。選手が日本から持参した食品選手の中には「減量中だから味のついていない白ごはんを食べたい」「バランスよい食事をとりたいから肉ばかりではなく、魚を食べたい」と考え、日本からアルファ米とよばれるレトルトごはんやサバの味噌煮などの缶詰、中華丼、筑前煮などのレトルト食品、しょうゆ、ドレッシングなどを持参していました。また、トラベルクッカーとよばれる鍋を持参し、ごはんを炊いたり、レトルト食品を温めたりしていました。写真⑤は、選手が調整期間中に食べていたレストランでの食事です。レストランの食事に持参した補食(缶詰、インスタントみそ汁)を上手く組み合わせられています。選手は国際試合の経験を重ねるにつれて、必要に応じて食品を持参し、どの国に行っても思うとおりの食事をとり、体調を整えられています。表1は、選手が国際試合のときによく持参している食品です。私が提供した補食今回の私の活動は食事の提供ではなく、レストランの食事にプラスできるような補食の提供でした。国際試合の経験を重ねた選手は、レストランの食事内容や体調に合わせて食事、補食をとれる自己管理ができるようになっています。世界選手権に向けて選手と話し合ったとき、「これまでの国際大会と同じように食品を持参します」と、話す選手が増えました。数年前の国際試合では「上村さんに任せます。食事つくってください」と話す選手が多かったです。選手の経験値が上がり、便利なレトルト食品が多く開発された結果、日本とは異なる環境においても対応できる選手が増えました。私は、自己管理ができている選手の邪魔にならないように、試合に向けてプラスアルファになるような食事アドバイスや補食の提供を行いました。主に提供した補食は、汁物、温かいうどん、にゅうめん、スムージー、白玉団子でした。試合当日は、選手栄養&レシピ編2022年10月6日~13日、ウズベキスタンで世界柔道選手権大会が行われました。私は、選手団に帯同し、選手へ食事アドバイスや補食提供を行いました。今回は、活動を通して、国際試合の補食のとり方についてお話しします。世界選手権での選手の補食について上村香久子うえむら かくこ管理栄養士/調理師。全日本柔道連盟強化委員会科学研究部員、JOC強化スタッフ(情報・戦略、医・科学スタッフ)。12年ロンドン五輪では柔道女子、16年リオデジャネイロ五輪から柔道男女の栄養サポートを行うPROFILE32まいんど vol.34
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