まいんど vol.34 全日本柔道連盟
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▲福島医科大学大学院で研究をする錫谷さん▲写真1 大学時代に訪問したカナダのburnaby judo_ clubにて◀写真2 スペインの道場でも週5回稽古に参加転倒恐怖症候群 今回の特集の前段でも触れられていますが、日本は世界でも有数の『超高齢化社会』となっています。後に少し詳しく説明しますが、私が留学したスペインも日本同様に超高齢化社会ということができます。 いつまでも元気に長生きを、というのはどこの国の人にとっても共通の願いですが、そこで大切になるのは転倒予防です。私は職業柄、高齢者の方々の診察を担当することも多く、高齢者が抱いている転倒への恐怖感は日々実感しています。転倒を恐れるあまり、活動を自主規制して動かなくなり家でじーっとしてしまうことを『転倒恐怖症候群』といいます。 確かに動かなければ転ばないかもしれませんが、そうすると筋肉が衰え、逆に寝たきりにつながってしまう可能性も高まってしまいます。つまり「転ばないように」と考えるのではなく「転んだとしてもケガをしないようにする」ことが大切なのです。 そこで大切になるのが、柔道を通して転び方を学ぶ『転び方プロジェクト』です。今回スペインでの転び方プロジェクトの第一人者であるOsuna大学のLuis Toronjo Hornillo博士にお話をうかがう機会を得たのでご紹介します。私自身のこと ところで、読者の方は私が何者であるかご存じないと思いますので、少し自己紹介をすると、柔道を愛好する精神科医で、みなさん同様『まいんど』の読者でもある錫谷研(すずたに・けん)と申します。 私は福島市立松陵中学校入学時に柔道を始めました。家族には柔道をやっている者はおらず、中学校入学までは柔道とは無縁の生活を送っていましたが、友人の勧めで柔道を始めました。地区大会で入賞する程度の実力で全国規模の実績はまったくありませんでしたが、柔道は私に非常に合っていて、練習はとても楽しいものでした。中学2年生のときに全柔連主催の全国柔道教室が地元福島市で行われ、野村忠宏さんに投げていただいたことも非常にいい思い出になっています。 福島県立福島高校入学後、半年ほどで柔道を辞めてしまいましたが、福島県立医科大学医学部に進学してから柔道の鍛錬を再開しました。大学4年生のときにはカナダ大使館の奨学金を受け、カナダ全土の柔道場を訪問するという機会にも恵まれました。具体的にはバンクーバー、トロント、モントリオールの道場を訪問しました。このとき、海外での柔道人気のすごさを目の当たりにし、柔道の素晴らしさを改めて実感することができました。 福島県立医大医学部卒業後は初期臨床研修を経て、現在は精神科医としての鍛錬を積みつつ、福島県立医大大学院で脳波の研究を行っています。この度2022年4月から半年間、スペインのバルセロナ大学に留学する機会を得て、同大学で脳波の研究を行いました。カナダでの楽しい思い出もあり、バルセロナでもぜひ柔道を通して交流したいなと考えていたところ、地元の道場に通えることになり、週5日練習に参加しました。スペインはサッカー大国という特集『転び方プロジェクト』スペインの『転び方プロジェクト』をレポート

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