まいんど vol.33 全日本柔道連盟
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久々に柔道衣に袖を通したという山口さんだったが、組み合うときには自然と得意の組み手に。お二人とも本当にうれしそうに、しばしの「柔道」を楽しんだ地道にやって、勝ちに繋げていくところに美学があったりするんですけど、相手がミスしたところを絞め技に入って勝ったぜ! すごいだろって喜んでいる選手がいたり。でも、それも柔道で、それこそ、いろんな柔道の形があっていいんだなと。山口 素敵ですね。でも、それってまるっきしビジネスですよね。谷本 そうなんですか?山口 そうですよ。だってビジネスの作り方、売り上げの作り方とか利益の作り方なんてブランドごとに違うし、会社ごとに違う。生産地から見たらこうだったけど、販売地から見たらこうだよねみたいな話もあるから。その多種多様なスタイルというところはまったく一緒だなと思いましたね。谷本 なるほど、そうなんですね。山口 柔道もビジネスもいろんなスタイルがあるということですね(笑)。でも、精神的な強さがこんなに必要なスポーツってないよなぁと思って。だから、そのときに比べたら、いまは全然楽って、バングラに行ったときも思ったし。柔道を通じて、世界中の人と通じ合える素晴らしさ谷本 そうなんですね。でも、バングラデシュに行かれて、道衣を着られたとか?山口 はい。警察とやりました。谷本 それはどういう経緯で?山口 私はバングラで一人ぼっちで、コミュニティがまったくなかったんですよ。だから、自分には柔道くらいしか、地域とつながる方法はないのかなと思って、少し着てみたんですね。そしたら、本当におもしろくて。女子柔道って、バングラだと柔道人口も少ないから、無差別でいろんな人が出てくるわけですよ。それで初めて試合で重い人と戦って、本当にすごく楽しくて(笑)。谷本 あるじゃないですか、楽しい思い出も。よかったぁ(笑)。柔道を通じて、柔道家ということで世界中の人と通じ合えるというのは、本当に素晴らしいことですよね。もしかしたら、山口さんはバングラデシュで、柔道の本当の魅力に触れられたんじゃないですかね。山口 ああ、そうかもしれないですね。谷本 ということは、もう一度スタート地点に戻って、柔道やられます?山口 何を言っているんですか(笑)。でも、今回、こういう機会をいただいて、自分のステージが変わっているんだなと思ったのもありますし、子どもが生まれて、いま、1歳半なんですけど、柔道は自分を作ってくれたDNAの、本当に確かな一つだから、一緒にやれたらいいなとは思いますね。谷本さんは、お子さんは?谷本 2人、男の子が。山口 やっているんですか、柔道。谷本 はい。山口 強いんですか?谷本 いやぁ全然。体格はいいんですけど、試合になると緊張しちゃって(笑)。山口 かわいい(笑)。谷本 ちょっと気持ちの優しい子なんですけど、柔道は大好きですね。海外での柔道教室のときには連れて行っていたので、小さい頃から柔道衣を着て、世界中の道場にポイッと置いて(笑)。山口 すごいですね。どこの柔道がおもしろかったですか?谷本 あるとき、フランスで指導してくれと言われて行ってみたら、70、80歳のお爺ちゃんお婆ちゃんたちが集まってきて、「どうしよう」と思ったこともありましたし(笑)、ブラジルでは、スラム街からバスを出してくれて700~800人集まったところで柔道教室をやったり。それぞれの国の良さがありますね。山口 そういうときは、集まった人たちを見て、どう教えようかなということを考えるわけですか?谷本 そうです。最初から決めておくのではなく、子どもたちの反応や、参加してくれた方々の様子を見ながら、いろいろと変えてやっていますね。だから、最後に「問答」というのをやるんですけど、「問答」ってわかります?山口 「もんどう?」谷本 はい、嘉納師範の行う柔道の修行には、「形」「乱取り」「講義」「問答」というのがあって、「問答」はその一つで、質疑応答みたいな感じですね。海外に行くと、練習のあとに、みんな集まってきて「モンドー、モンドー」と言って、みんな嬉しそうに先生を囲んで座って、いろいろと質問してくるんですよね。山口 どんなことを聞いてくるの?谷本 「柔道でアユミが伝えたいことはなんだ」と聞かれたときに、なんだろうと考えて、私はそのときに「心」と伝えたんですね。(講道館大道場の)嘉納先生のお写真の前でこんなことを言うのもあれなんですけど、日本人が海外で柔道を語るときは、嘉納先生の代弁者だと思えと、彼らは答え合わせをしたいと思っているんだぞと言われたことがあって、それ以来、柔道に関しては責任を持って話さなくてはいけないと、そう思っています。8まいんど vol.33

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