まいんど vol.32 全日本柔道連盟
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中村淳子・強化副委員長金野潤・強化委員長はなく、「柔道って楽しいね」と思ってもらい、自然と「もっと強くなりたい」と、集まった子どもたち全員をそういう気持ちにさせて各県に返すというというような事業にしていくことが、今回の変革だと思います。よく言われることですが、大会というのは、1回戦で参加選手の半分、2回戦で4分の3が負けてしまう訳です。47人集まってそのなかの1位を決めることよりも、47人全員が楽しくてためになり、地元に戻って「頑張るぞ!」という気持ちになれる事業に変えていくことが、将来的な強化や普及につながっていきます。中村 具体的に代替イベントはどういう形になるのか、今後詳細が決まっていくと思うのですが、そこに試合がまったくないというよりは、練習試合とか試合を経験できる部分もあったほうがいいとは思います。中里 イメージとしてですが、私が思い浮かべているのは、軽量級から重量級まで順番に並んでもらい、自分の隣の者と試合をする。そうすると大きな体格差は生じないので、そういう練習試合を行ったらどうかということです。学年ではなく体格や体重ですね。そうした試合のなかで、無理な巻き込みや奥襟をとることは「指導」なんだときちんと教える。そういうことをしたいと思っています。西田 私は実は、この話が出たときに「全国大会はあってもいいのでは?」という考えでした。やはり目標があったほうが頑張れるから、という考えからです。でも議論のなかで、いろいろな話を聞くと、審判を罵倒するとか、相手選手を罵倒するとか、また大会のために5㎏も6㎏も減量させるとか、技術以前の問題、人として、倫理的にどうかという問題まで出てきているんですね。だから、それらを知ったときに、これは一度やめるべきではないかと考えを変えたわけです。 この件に関しては賛成派も反対派もいると思いますが、まず、そうした問題点を認識していただくことが大切だと思うんです。柔道は、嘉納治五郎先生が「人間教育であり、人間を育てるためのものだ」と説いておられるわけですから、その部分で、大きく逸脱している今の状況をそのままにしておくわけにはいかないと思うわけです。とはいえ、少年団主体の大会だったり、マルちゃん杯などは継続する訳で、すべてがなくなる訳ではありません。それでも、「全柔連が小学生学年別をやめた理由を、指導者のみなさんも一緒に考えていただけませんか?」ということで、我々としても、みんなが参加して喜んでもらえるようなイベントにして、教育的な要素も入れ込んでいかなければいけないと思います。こういう機会があって、私も考えが変わっていったように、現場の指導者の方にも理解していただけるよう、順を追って進んでいくのがいいのではないかと考えています。中村 他の競技の方々からは「柔道の今回の決断を見習いたい」というポジティブな反響も多く、柔道以上にハードな小学生への指導が、いろんなスポーツ界で存在しているんだということが想像されます。大迫 「二度と柔道をしたくない」とか「二度と道場へ行きたくない」と思うような子を作ってはいけないですよね。中里 本当に、そのとおりだと思います。子どもの頃に柔道をやっていて、長じてからは他のスポーツをしてもそれはそれでいいと思いますしね。金野 同感です。私も昔は柔道を続けてもらうことが柔道界にとって一番大事なことだと思っていました。でも一定の期間だけしか柔道をしなくても、その後も観客として試合を観に来てくれる。また、自分が親になったときに、自分の子どもに柔道をやらせてくれる。そういう価値を感じさせるカルチャーになれるのもありだなと。 それと、最近は子どもたちや若い子たちの意識がすごく変わってきています。私の年代の選手は、笑いながら柔道をやっているとものすごく怒られたものですが、今はそれも必要だと思うようになりました。 真剣にやるグループもあれば、笑いながら楽しく汗を流す柔道があってもいい。「柔道」で価値は変わらないと。もちろん、勝利を目指す命懸けの柔道は、必要です。ただ、大きな柔道のなかの一つのカテゴリーでしかない、柔道はさまざまな価値があるということが、共通認識になれば新しい層の方々が柔道に興味を持っていただける気がします。 小学生学年別が変わることで、指導者の先生方のなかには、これまでやってきたことを否定されていると思わせてしまったところは反省して、「そうではないんです」と、「これからのやり方」をみんなで考えましょう」ということを含めて発信していくことが大事かな、と思います。柔道を1年間でも経験してもらって「柔道、おもしろかったね」と離れていく場合は、また戻ってきてくれる可能性もあると思います。 私は高橋健二先生(中体連柔道部長)の貫井中(東京都練馬区)を訪ねたときに、 部活で白帯の女子生徒が30人くらいメチャメチャ楽しそうに柔道をやっていたんです。 それを見たときに、目から鱗が落ちた思いでした。柔道初心者の子どもたちが一生懸命だけど、すごく楽しそうに柔道をやっているんです。自分の指導を顧みて「自分の指導はどこを向くべきか」と考えさせられました。いま指導者表彰は、世界選手権やオリンピックでメダリストを輩出した道場の先生を表彰していますよね。それも引き続き大切ではありますが、メダリストは輩出していないけど、道場を何十年もやられていて、教え子が何人もいて、みんなが楽しく柔道をやっているという道場の指導者も表彰してもいいのではないでしょうか。我々は「強い選手を育成した=良い指導者」という固定概念を持ちがちです。「柔道はそうした考えだけではないんだ」ということを理解してもらうのであれば、多様な価値観の表彰をするという方向性を検討したいですね。中里 オリンピックに勝った選手の指導者を表彰するというのは、それはそれでいいかと思います。ですが、いまご指摘された柔道の普及に関して貢献された方の表彰も他の競技の方々からは「柔道を見習いたい」という反響。柔道以上にハードな指導をするスポーツも8まいんど vol.32

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