まいんど vol.32 全日本柔道連盟
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メディカル編ゼミナール柔道JUDOこのコーナーでは選手、指導者を対象に、それぞれのスキルアップに役立つ話題(コンディショニング、トレーニング、栄養、心理、メディカル、コーチングなど)を紹介します。指導者のスキルアップのための東海大学スポーツ医科学研究所所長。日本整形外科学会専門医・スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツ医、神奈川県体育協会スポーツ医科学委員会トレーナー部会長。現在、全柔連医科学委員会副委員長で、96年から08年まで全柔連チームドクターを務めた。PROFILE解説:宮崎誠司東海大学スポーツ医科学研究所 所長【概要】TFCCは手首の尺側(小指側)にある靱帯と軟骨の複合組織で、手をついたり、小指側へ傾けたりした際の衝撃を受け止める軟骨としての機能と、手のひらを下や上に向ける運動(回内・回外運動)の際に、橈骨と尺骨との連結(遠位橈尺関節)を安定化させる靱帯としての機能があります。TFCCを傷めると、痛みとともにこれらの機能に障害が起きます。柔道では手をついたときや、ひねったときに手関節に起こる怪我の一つです。このときには前腕の回旋(ひねる動き)や手関節の動作で痛みが誘発されます。しかしながら、軽くひねっただけの場合やいつ傷めたかわからないような繰り返しの外力がかかった場合でも痛みが生じることがあります。前腕の骨(橈骨と尺骨)の長さが影響するとされ、場合によっては骨を切って短くするような治療が行われます。【解剖と機能】TFCCは手関節の尺側に存在する軟部組織で、三角線維軟骨とその周囲の靱帯構造からなる線維軟骨-靱帯複合体で、尺骨と手根骨の間の隙間を埋めるような形をしています。TFCC は、手首の小指側に沿った三角形の形の部分にあたり、主に尺骨三角骨靭帯、尺骨月状骨靭帯、掌側橈尺靭帯、背側橈尺靭帯、関節円板、尺側側副靱帯、三角靱帯から構成されます。立体的にはハンモック状の構造を中心として、橈尺関節を直接支持する三角靭帯(橈尺靭帯)、機能的尺側側副靭帯である尺側手根伸筋腱腱鞘床と尺側関節包で構成されます。尺骨三角骨靭帯、尺骨月状骨靭帯、掌側橈尺靭帯、背側橈尺靭帯の4つの靭帯は、それぞれが骨と骨を繋ぎ止める役割を担い、手首の安定性を保っています。この4つの靭帯に加えて、関節円板が存在しています。この関節円板を中心(底)として、周りが靭帯で囲まれハンモック状構造に月状骨と三角骨が入り、橈骨手根関節を形づくります。これらの構造が複合体となって、手関節尺側(特に橈骨─尺骨間)を支持し、回内外可動域および尺側手根骨─尺骨間の荷重を分散・吸収・伝達しています。【受傷機転】TFCC損傷の主要因は外傷で、背屈強制(手の甲側に反る)、回外・回内強制(手首をひねる)、軸圧(骨同士がぶつかる)柔道の投技の多くは、相手の柔道衣をもって行います。力を相手に伝えるためには手の動きが重要になりますが、手や手首の痛みがあるとその力も減少してしまいます。今回は、外傷だけでなくても手関節に痛みが出る三角線維軟骨複合体(Triangular Fibrocartilage Complex、TFCC)損傷について説明します。三角線維軟骨複合体損傷図2 TFCCの構造図1手関節の構成とTFCCの位置(円)、矢印ははさまれて傷めるところ32まいんど vol.32

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