まいんど vol.32 全日本柔道連盟
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2021年度は、井上康生氏も『一日教師』として中学校で授業を行った勝つためには、組み手の攻防を有利に進めることが求められます。しかし、毎日の乱取稽古で組み手争いばかりやっていたら、肝心の投技の技術練習が疎かになってしまいます。相手の技を受ける技術も、きちんと組んで技をかけ合うなかでしか身につきません。少年期は、基本を身につける大切な時期です。正しく組み合って技をかけ合うことで、技術の向上や成長を実感でき、柔道が楽しくなります。これは個々の技についても同じです。応用的な技術を高めるには、まず基本を身につけなければなりません。立って技をかけ、下半身の力を有効に使って技を施す基本を身につけることが出発点です。また、体格差を利して巻き込んで投げる技も試合ではよく見かけますが、上半身の力だけで相手を巻き込んで投げてばかりいては、自分より大きい相手には通用しません。また、巻き込んで相手の上にのしかかるような技やヒザをついて相手を真下に落とすような技は事故の危険性が増加します。事故防止の観点からも両足で立って技をかけることが重要です。嘉納師範は、「目前の勝ち負けに重きをおいてはならぬ」、「目前の勝負に囚われて、柔道修行の本当の目的に留意しない」見苦しい試合態度はよくない、と説いています。ヒザをついたり巻き込んだりすることは一つの技術ですが、それは技の応用の部分です「守・破・離」の原則に則れば、小学生の段階ではまず基本となる「守」をきちんと身につけることです。応用技術に取り組む「破」はその後の段階です。本委員会では、これからも小学生の正しい柔道の在り方を追究していきます。シニア健康指導WG受身体験は、柔道未経験者にも柔道のすばらしさが伝わります。子どもを対象とする転び方指導を検討するWGが動き出していますが、新たにシニア層向けの受身による転び方指導を含む、転倒予防の健康指導を推進するWGを立ち上げました。すでに欧米各国では指導法が確立しており、国内でも接骨院等でも高齢者を対象とした健康指導が行われています。標準的な指導法を開発するとともに全国のシニア層への働きかけを進めることを目指します。〈委員〉高橋進、曽我部晋哉、王麗華、マーヤ・ソリドワール、田中裕之新規登録者優良校表彰2018年から始まった、学校の部活動で未経験者を多く入部させた中学校、高校を顕彰する制度は、5年目を迎えます。毎年、新たに柔道を始める生徒が20名以上の学校もあります。6月1日現在、新しく全柔連登録をした人数で確認します。都道府県柔道連盟(協会)に調査をお願いしています。ご協力のほど、よろしくお願いします。なお、新規全柔連登録者とは、前年度(2021年度)に全柔連登録を行っていない生徒です。現在在籍している学校での登録が新規であっても前年度に道場やクラブで登録していた生徒は新規登録者とは認められません、ご注意ください。部活動地域化対策WG発足全日本柔道連盟と日本中学校体育連盟が共催する全国中学校柔道大会における2023年度からの参加要件変更が報道されています。従来は中学校単位で出場することが義務付けられていました。中学校に部活動がなく、道場やクラブ等で活動している中学生は、依頼監督、保護者引率制度を活用して参加していましたが、道場やクラブ単位での出場が認められていく予定です。また昨今の働き方改革の流れと並行して、放課後の部活動運営についても検討が進められています。中学校教員が行ってきた放課後や土日の部活動を地域に委ねる総合型地域クラブ構想です。本連盟では、この大きな変化に対して、学校の顧問教員、中学生、地域諸団体に生じるであろうさまざまな課題を精査し、柔道界全体で適切に対応することを目途として部活動地域化対策ワーキンググループ(WG)を立ち上げました。今後、全柔連としてどのような支援を行うことが学校柔道の発展に繋がるのか、検討を進めていきます。〈委員〉高橋進、高橋修一、工藤保子、髙橋健司、田中裕之本格始動! メダリストが中学校柔道授業で『一日教師』に 昨年度、東京都内の中学校4校で実施したメダリストの中学校武道(柔道)授業派遣はおかげさまで大好評でした。 体育の先生と一緒に、メダリストが柔道授業で『一日教師』を務める本事業を、本年度は全国に枠を広げ、計30校での実施を計画しています! あなたの中学校にもメダリストが訪れるかも?! ぜひお楽しみに!!17まいんど vol.32

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