身体づくりには、ささみが一番いい?先日、中学生の柔道選手から質問を受けました。「よくテレビでプロスポーツ選手が、身体づくりに鶏のささみが一番いいと話しています。本当ですか?」中学生の選手から、食事や栄養のことを意識した質問をいただき、うれしかったです。しかし、ささみが一番いい肉というわけではありません。牛肉、豚肉、鶏肉は、それぞれが強みを持っています。表1は、各肉100gあたりに含まれる栄養素の量を示したものです。肉は、身体づくりに欠かせないタンパク質が豊富です。そして、肉の種類によって多く含まれるビタミン、ミネラルの量が違います。牛肉は、酸素の運び役である赤血球の材料となる鉄が豊富です。鉄が不足すると鉄欠乏性貧血を起こし、持久力が落ちやすくなります。豚肉は、エネルギーやタンパク質の代謝を助けるビタミンB群が豊富です。身体の成長や試合当日エネルギー源を燃やすときに必要な栄養素です。そして、鶏肉はビタミンAが豊富です。ビタミンAは、のどや鼻の粘膜を健康に保ち、ウイルスなどの侵入を防ぎます。また、目の機能を正常に保つ働きもあります。このように肉の種類によって特徴が違うのです。ささみばかりを食べると、栄養バランスが悪くなりますので、いろいろな肉栄養&レシピ編今回は、中学生の柔道選手からきた質問にお答えします。前回は魚料理のメリットをお伝えしましたが、今回は、みなさん大好きなお肉についてです。良質な筋肉を作るのに「鶏のささみ」がいいとよく言われますが、他の肉の種類、他の部位にも、それぞれの強みがあります。この機会にぜひ覚えて、身体づくりに役立ててください。鶏肉、豚肉、牛肉の強みを知ろう!上村香久子うえむら かくこ管理栄養士/調理師。全日本柔道連盟強化委員会科学研究部員、JOC強化スタッフ(情報・戦略、医・科学スタッフ)。12年ロンドン五輪では柔道女子、16年のリオデジャネイロ五輪では柔道男女の栄養サポートを行ったPROFILE肉を食べるなら、「ささみ」が一番いいとよく聞きますが、本当ですか?牛肉、豚肉、鶏肉には、タンパク質の他にビタミン、ミネラルも含んでいます。肉の種類によって、多く含まれているビタミン、ミネラル量は違います。いろいろな種類の肉を食べましょう。QA図1 牛肉、豚肉、鶏肉部位別100gあたりの栄養素の含有量表1 牛肉、豚肉、鶏肉100gあたりの栄養素の含有量エネルギー(kcal)タンパク質(g)脂質(g)鉄(mg)ビタミンA(μg)ビタミン B1(mg)牛 肉21219.113.92.450.07豚 肉26319.319.20.360.69鶏 肉20416.614.20.6400.132まいんど vol.31
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