まいんど vol.30 全日本柔道連盟
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伊藤さんのさまざまな分野におけるさまざまな知見をもとに、柔道界に新たな風を起こしてほしい(井上)ブランディング戦略推進特別委員会設立記念対談井上康生×伊藤華英D(知的障がい者)柔道だとか、聴覚障がい者のデフリンピック等の普及発展にも力を入れています。柔道はもともと日本から始まった競技ではあるんですけど、現在は約200の国と地域が国際柔道連盟に加盟し、グローバルなスポーツになったと言えます。そうやって、非常に多様性を持った活動が行なわれていると思うんですよね。そういったところも、より一層アップデートさせていきながら、より良い環境づくりを推し進めていかなければいけないと強く思っています。柔道界における多様性に関して、もっとこんな取り組みがあるんじゃないかといったことはありますか?伊藤 多様性というと、さまざまな方々が「一緒にやる」というのがすごく大事だと思うんです。パラリンピックというのはみなさん障がい者。今後、障がい者の柔道とも連携していくということであれば、地域レベルでもいいので、障がい者と健常者の柔道家たちが交わる大会やイベントなどが行われてもいいのかなと。オリンピック、パラリンピックの選手だけじゃなくて、トップ選手を目指す方も趣味として、楽しくやってる方も、障がいをお持ちの、柔道をやったことない方も、一緒になってできるような取り組みが、本当のダイバーシティだと思うんですよね。なので、みんなで同じ畳の上に立つ瞬間というのがあるといいなぁと、私は思います。井上 本当ですね。それは今までやってないですね。パラリンピックの方々との練習は、今回の東京オリンピックに向けて「ずっとやりたいですね」と話はしていたんですけど、新型コロナの影響でできませんでした。でも他のデフリンピックの方々やIDの方々、全部交えてというのは今までにありませんでした。確かにそれはおもしろいですね。 柔道が世界的な競技になるなかで、やはり海外の人たちにとっては、日本の柔道に対して非常に大きなリスペクトを持っていただいていて、通常であれば年間1000人以上の柔道家たちが来日して修行している。2019年にはこの道場で、世界の国々から500人以上の柔道家が集まって合宿をやったんですよ。伊藤 すごいですね。井上 本当に、われわれにとって実りのある合宿になりましたし、海外の方々にも非常に喜んでいただき、称賛の声をいただいたんですけど、今後もそういう取り組みを、より一層深めていけたらいいなと思っています。さらに、その発展的なものとして、武道ツーリズムではないですけど、合宿に来てもらい、柔道に加え、もう一つ何か日本の文化が学べるような時間をプラスし、もっと価値を上げるといったことも考えています。伊藤 柔道ならではですよね。それだけ国際的にリスペクトされているからこそだと思います。井上 講道館の入口にある嘉納師範の銅像の前で、みんな行列のようにして写真を撮って帰るんですが、われわれにとっては嬉しく、また誇りに思えることでもあります。これは、日本だからこそできることだと思いますし、そこから展開し、これからグローバル化されていくなかで、より一層世界とのつながりを持ちながら、いろんなことを学んでいくことがとても大事なことだと思っています。伊藤 やることがいっぱいありますね。井上 はい、楽しみですね。伊藤 みなさんと力を合わせて頑張っていきたいなと思います。井上 よろしくお願いします。8まいんど vol.30

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