写真1 試合時に提供した補食ど、消化の早い食品を選びます。国際オリンピック委員会が作成している「Nutrition for Athletes」では、試合6~1時間前までに体重1あたり炭水化物1~4gとることを推奨しています。例えば、体重50㎏の場合は、50g~200gです。表2は、試合時に利用しやすい食品に含まれる炭水化物量を示しました。こちらの表を参考に、選手の体調、次戦までの試合時間間隔に合わせて、食品を選んだり、量を調整したりしてください。ただし、表1は、あくまでも目安で、消化吸収には個人差があります。実際、試合1時間前におにぎりを食べても平気な選手はいますし、逆に、試合2時間前にバナナがとりづらい選手もいます。大切な試合ぶっつけ本番で食事・補食をとるのではなく、この表を参考にし、日頃の稽古中や練習試合などでいろいろな方法を試し、体感してください。そして、自分に合ったエネルギー補給方法を複数見つけてください。写真1は、私が東京オリンピック試合当日に提供した補食です。選手の希望に合わせて、おにぎりの大きさを変えたり、果物の種類を増やしたりしました。自分に合う試合間のエネルギー補給方法の見つけ方私は、東京オリンピックまで選手の試合時の食事や補食を分析し、選手へアドバイスを行いました。アドバイス時にこだわった点があります。選手の試合出場時間です。グランドスラムなどの国際大会時に帯同するスタッフにお願いして、選手の試合出場時刻をすべて記録していただきました。各試合間の補食内容、どのくらいエネルギー量を補給できているかを分析し、選手に細かくアドバイスしました。国際大会は、国内大会と少し違うところがあります。国際大会は、予選ラウンド終了後から決勝ラウンドまで2時間以上あくことが多いのです。長い時間があけば、消化の早い食品より、腹持ちする食品をとったほうが体にエネルギーを温存しやすくなります。また、卵などタンパク質食品を炭水化物食品(ごはん、パンなど)と一緒にとると、エネルギー合成を助けます。表3は、東京オリンピックの試合予定表です。東京オリンピックは、予選と準決勝の間が長くあきました。ほとんどの選手は、このタイミングで補食量を増やしました。選手のみなさんは、食事、補食内容の記録だけでなく、試合出場時刻も記録するようにしてください。記録を残していくうちに、全体的な試合スケジュールを把握しやすくなります。また、自身の食事・補食をとるパターンに気づきます。これらの記録、振り返りによって、試合間の補食のとり方を改善することができます。ある選手は、「国際大会の決勝前は、体が重くなるので補食をとりたくない」と話し、補食をとりませんでした。しかし、決勝戦で敗退し、「食べたほうがよかったのかな」と話しました。そして、別の試合の決勝前、この選手は補食をとり、優勝しました。「今後、決勝戦前は補食をとるようにします」と話していました。東京オリンピック、選手に試合時の食事・補食について話を聞くと、「これまでの国際大会時に食べ慣れているものがいい。特別なことはしなくていい」と話しました。柔道の試合は早く試合が終わったり、延長戦に入ったりするため、次戦までの時間が読みにくいところがあります。記録を残して、試合を振り返る。そして、改善策を考え、日頃の稽古中にいろいろと試してみる。そして、合うと感じた方法を試合で行い、記録を残す。この繰り返しによって、自分に合う試合時の補食のとり方を複数見つけることができます。「ちりも積もれば山となる」ですね。①ミキサーにフローズンフルーツ、牛乳を入れる。②約30秒、スプーンで軽く混ぜる。③フローズン上になるまでミキサーにかける。かたまりやすいので、様子をみてスプーンで混ぜ、ミキサーにかけてください。つくり方RECIPEスムージー※写真 手前はマンゴー、奥はブルーベリー材料(1杯分)メーカーにもよりますが、ジューサーやブレンダーでは氷を砕けません。説明書をご確認のうえ、冷凍フルーツは、1.5cm以内の大きさにしてください。大きいフルーツは、カットしてください。大きいとミキサーの刃が破損します。ここがポイント材料(作りやすい分量)▶切牛乳または豆乳…100cc ▶市販の冷凍フルーツ…80g ▶お好みで刻んだバナナ…1/2本表3 東京オリンピック試合スケジュール準々決勝後から準決勝まで長い時間があいた。このときに補食をしっかりとるようにアドバイス。11時~1回戦11時50分頃~2回戦13時50分頃~準々決勝戦17時20分頃~準決勝戦18時30分頃~決勝戦41まいんど vol.29
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