まいんど vol.29 全日本柔道連盟.
27/52

 新型コロナウイルス感染症に罹患された方々に謹んでお見舞いを申し上げます。また、今なお続く新型コロナウイルスとの闘いに日々奮闘されている医療従事者のみなさまに心より敬意を表します。 2021年6月の評議員会・理事会での決定を経て、3期目となる全日本柔道連盟会長の任を仰せつかりました。4年前の就任以来、「変えるべきことは変え、変えてはならないことは守り抜く」という基本方針のもと、「子どもたちが柔道衣を担いで道場に行くことに憧れる柔道界」を目指し、「人づくり・人間教育のさらなる拡充」と「競技力向上」の2つの柱を中心に、各種事業を展開してまいりました。 過日の東京2020オリンピック柔道競技において、日本柔道は金メダル9個、銀メダル2個(混合団体含む)、銅メダル1個を獲得し、オリンピック柔道史上最高の成績を収めました。新種目の男女混合団体戦では決勝でフランスに惜敗いたしましたが、8日間にわたり熱戦を繰り広げた14名の代表選手の姿は、日本中を勇気づけるとともに、日本選手団全体の躍進の端緒となったものと思っております。 オリパラ一体で開催される今夏の大会には、東日本大震災からの復興や共生社会の実現という重要なテーマが託されておりました。パラリンピック柔道競技においては、これまでで最多となる13名が出場し、若手選手の活躍もあり銅メダル2個を獲得しました。日本武道館の大舞台で戦い抜く選手たちの姿は、テレビ等を通じ多くの方々の目に触れましたが、それは柔道界における多様性や『柔道 for All』の実現に向かう方向性を象徴するものであったと思っております。 オリンピック、パラリンピックの代表選手たちの試合後のインタビューの受け答えに感動したとの声も各方面からいただいており、「人づくり・人間教育の柔道」の一端を選手たちが体現してくれたものと、心強く感じております。ひたむきな努力を重ねた選手たちの健闘を称えるとともに、それを支えた指導者やスタッフ一人ひとりに深く感謝を申し上げます。 ここに改めて、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催にあたりご尽力されたボランティアをはじめとするすべての関係者のみなさまに心より御礼を申し上げます。 一方で、国内の大会に目を向けると、コロナ禍収束の兆しが見えないなかで、多くの大会が延期、中止を余儀なくされております。競技団体として、選手や関係者の安全を最優先したうえで、制約の多い環境のなかでも可能な限り活動が継続されるよう医師をはじめとする専門家の方々と検討をすすめてまいります。 また、当連盟では、今後の柔道界の発展に向けた動きとして、井上康生氏を委員長とし、「ブランディング戦略推進特別委員会」を立ち上げました。同委員会は、選択肢や価値観が多様化する現代社会において、柔道はどのような役割を担っているのか、どのような価値を提供できるのかを改めて議論し、各専門委員会と連携のうえで新たな施策を実現していくことを目的としております。競技力の向上のみならず、相手を敬い、礼節を重んじる心、受身の有用性、国際性など、柔道を通して学べることはたくさんあります。それらの魅力をより多くの方々へ伝えていけるよう、都道府県柔道連盟・協会、協賛企業、賛助会員、関係団体のみなさまと力を合わせて活動を広げ、登録人口やファンの増加を目指していきたいと考えております。 心身を磨き高め、それにより世に補益する人材を育成するという柔道本来の目的のため、社会に貢献し、信頼され続ける柔道界であるべく、今後とも諸事業に邁進してまいります。ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。会長再任のごあいさつ社会に貢献し、信頼され続ける柔道界へ公益財団法人全日本柔道連盟会長 山下 泰裕26まいんど vol.29

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る